孫氏は、ボーダフォン買収(1兆7500億円)を振り返り、「今から思っても、かなり高く払ったと思う。誰が営業利益を反転できると思ったか。買収したとき、半年後にナンバーポータビリティを控えていた。専門家であればあるほど、真っ逆さまに利益が落ちるとした。だが、結果はどうか」と言葉を強めた。
ソフトバンクは、ウィルコムの再生支援を発表しており、11月をめどに更生計画の認可が下りる見通しだ。孫氏は再生支援について、「1つは400万人のお客さまに対する混乱を避ける狙いがある。お客さまと業界(双方)にとっても良いこと。では、ソフトバンクの経営から見てどうか。電波改善計画として基地局を増やしたいが、ネックになるのは、場所の確保。日本で最も無線基地局を設置した経験を持つウィルコムの優れたエンジニアは基地局を拡大するのに役立つ。ボーダフォンの場合でも救済できたから、ウィルコムでもできるのではないか。やってみたいと思っている」と語った。
好調ぶりをアピールする一方で、「ソフトバンクは最近順調にいっているが、今後も続くのか──という共通の疑問が出てくるだろう」とした。それに対し、「答えは『やりましょう』だ。Twitterで時々つぶやくキメ台詞だが、これは決意を表すもの」と語る。
「ソフトバンク 勝利の方程式」として、スマートフォン、スマートパッドがキーになるとした。それぞれでナンバーワンをとり、ソフトバンクが目指すモバイルインターネットの分野でナンバーワンになるという戦略だ。
ソフトバンクの主力製品であるiPhoneは、2008年6月に発売したiPhone 3Gから現在まで「売れて、売れて、売れ続けて右肩上がり」という。さらには「iPhoneのそっくりさんが出てきているが、似て非なるもの。iPhoneは使えば体にどんどん染み込んでくる」とiPhoneファンの顔をのぞかせつつ、「Phone以外もやる。ソフトバンクとしては、Androidを増やしていく」と説明した。
2010年はスマートパッド(iPad)元年として、今後も力を入れていく方針を示した。iPadの導入企業は増え続けており、孫氏自身も「iPhoneとiPadが出るまでは、毎日PCのキーボードに触れていた。それがゼロ%になった。快適になり、生産性が上がった。それでも人生は成り立つことが自分の人生で証明できた。これまでは考えられなかったこと」と話す。長文を入力する際は、自宅とオフィスに設置するiPad Keyboard Dockを使うのだという。
ビジネスの場において「(起動も遅く、重い)ノートPCは恥ずかしい。さらにネットブックは恥ずかしい、隠さなければいけないというぐらいの時代が来ると思っている。差別をするわけではなく、これは極論。ビジネスパーソンには1人1台、2台、3台の時代が来る」し、ノートPCからスマートパッドの時代へ変化していくと予測を示した。
さらに、ソフトバンクモバイルにおいて、現在から2019年までのいずれか(201X年と表現)で、2400万回線から4000万回線にする計画を発表した。これは、増益かつ純有利子負債ゼロという中で、4000万回線を実現しようというもの。現在のウィルコムが抱える400万回線も含めた数という。
「減益にして数だけとるのは簡単だ。だが、今日よりも増益をしながらなおかつ4000万回線を達成する。しかも201X年。具体的には言えないが、少なくとも2012年ではないが、10年はかからない。口にした以上は、何が何でもやりたい」と語った。
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