イー・モバ、UQの両社長が示すワイヤレスブロードバンドの近未来--ワイヤレスジャパン2010基調講演 - (page 2)

「高速大容量のWiMAXは事実上の4G」--UQコミュニケーションズ

 UQコミュニケーションズ社長の野坂章雄氏は、「成長するWiMAX−モバイルWiMAXサービスが創る豊かな社会」をテーマに、2009年7月に商用サービスを開始してから1年を経過した、UQコミュニケーションズが提供するWiMAXの今後の取り組みなどについて説明した。

野坂章雄氏 UQコミュニケーションズ社長の野坂章雄氏

 冒頭、野坂氏は「ワイヤレスデータ通信環境は、コンテンツのリッチ化、デバイスの高機能化、ビジネスツールとしての高度な活用が広がることで、ユビキタスネットワークインフラが求められるようになっている。日本国内におけるワイヤレスデータトラフィックは、2017年には2007年比約200倍の規模が想定され、シスコシステムズの予測では、日本国内におけるの1カ月間のトラフィックは、2014年に2009年の約20倍となる342ペタバイトに達するとしている。無線リソースが不足しており、携帯ネットワークは限界を迎えている。真のユビキタス社会を実現するには、BWA(Broadband Wireless Access)の広がりが求められており、WiMAXはその観点からも、いつでも、どこでも、誰でも、何でも、高速、大容量通信が実現できるものになる」と語り、「米国ではWiMAXを4Gと認識しはじめている。オールIPであり、高速かつ大容量を実現しているWiMAXは事実上の4Gである」などとした。

 また、WiMAXの強みとして、国際標準であること、オープンモデルであることなどを示し、「WiMAXは、日本で割り当てられている2.5GHz帯のほか、国によっては2.3GHz、3.5GHzが割り当てられているケースもある。日本で売られているWiMAX対応ノートPCには、全世界の周波数に対応したチップセットが入っており、そのまま利用できる。日本をガラパゴス化させない」としたほか、「UQコミュニケーションズは、WiMAXのプラットフォームだけを提供しており、量販店やサービスプロバイダーがこれを活用してサービスを提供し、さらにPCメーカーやその他の機器メーカーがチップセットを組み込んでビジネスを行っている。携帯電話のビジネスモデルが垂直統合であるのに対して、WiMAXのビジネスモデルは水平統合型になっている」と語った。

 野坂氏は、UQコミュニケーションズが提供する価値を「便利」「快適」「安心」の観点から説明。家の中でも外でも使えること、申し込んだらすぐに開通すること、セットアップが簡単なこと、PCを開けてすぐに接続できること、ストレスのない高速通信が可能であること、配線が不要なこと、業界最安の料金であること、契約期間の縛りがないこと、解約ペナルティがないことといった特徴をあげた。

 野坂氏は顧客満足度調査の結果も披露。速度、料金、サポートに対して高い評価が集まっている一方で、エリアに対する評価が低いことに触れ、2009年度は47都道府県447市区町村において、当初計画の2倍以上の数となる7013局の基地局を設置。前倒しで整備が進んでいることを紹介した。

 「2010年度は新たに8000局を追加して1万5000局の体制とし、これにより570市区町村をカバー。さらに首都圏の通勤路線を重点整備する。通勤路線では、最低でも1Mbpsの通信速度を維持し、安定して接続しつづける環境を作る」(野坂氏)

 高速化については、「サービス開始当初は15Mbps程度だったが、実利用に向けたチューニングを行い、今年3月には20Mbpsにまで向上。さらにシステムパラメータを改善することで、8月には30Mbpsの速度を実現できる。アップロードは5Mbpsだが、これを7.5Mbps化することも検討している」と語った。

 加えて、IEEE 802.16mに準拠したWiMAX 2についても取り組んでいることを示し、「現状のWiMAXが準拠するIEEE 802.16eは、ダウンロードで40Mbps、アップロードで10Mbpsとなっているが、WiMAX 2では、ダウンロードで330Mbps、アップロードで112Mbpsを実現する。WiMAXの高速化は、他社に比べて2年程度先行している」と強調した。

 野坂氏は、2010年10月に開催されるCEATEC JAPANにおいて、WiMAX 2のデモストレーションを行う予定であることを明らかにし、「2011年から2012年初めには実用化したい」とした。

 「UQは、“ユニバーサル・クオリティ”を語源としているが、“ユビキタス(UbiQuitous)”の意味の方が適していると個人的には思っている。日本のネット生活を変える真のユビキタス・カンパニーを目指す」(野坂氏)

WiMAXとWiMAX 2の技術仕様 WiMAXとWiMAX 2の技術仕様比較

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