携帯電話メーカーのNokiaは現地時間8月26日、金融サービス「Nokia Money」を開始すると発表した。これは消費者が請求書や商品代金の支払いや、友人や家族への送金をする際に、携帯電話を利用した決済を可能にするサービスだ。
Nokiaは同サービスにより、米国や新興市場において、銀行をはじめとする既存の金融機関のサービスを受けられずにいる人々を支援できると考えている。
Nokiaの最高開発責任者を務めるMary McDowell氏は、次のように述べている。「多くの国において、携帯電話を所有している人の数は銀行口座を利用している人の数をはるかに上回っている。これはつまり、多くの携帯電話ユーザーは基本的な金融サービスを受ける機会が限られているか、あるいはまったく受けられていないことを示唆している」
Nokia Moneyは、米国において特殊なニッチ市場を開拓するかもしれない。米国は、携帯電話を通じてその場で商品の支払いをするサービスにおいて、日本などの他国に比べて出遅れている。
Nokiaのバイスプレジデント兼企業向け事業開発部長を務めるTeppo Paavola氏は、次のように語っている。「地方の消費者は、送金サービスから特に恩恵を受けるだろう。一方、オンラインサービスに慣れた都会の消費者に対しては、公共料金の支払いや電車の切符および映画のチケットの購入、プリペイドSIMカードのチャージといったサービスすべてを、携帯電話経由で可能にするつもりだ」
Nokiaは、今回のサービス提供にあたってObopayと協力する計画だ。Obopayはモバイル決済プロバイダーで、消費者に対し、自身の携帯電話から商品代金の支払いを可能にするサービスを提供している。Nokiaは2009年に入り、Obopayに巨額の投資を行った。
Nokiaによれば、Nokia Moneyは、さまざまなネットワークや金融機関に対応するよう作られているという。消費者側の持つ携帯電話はNokia製品に限定されず、他のメーカーの端末でも利用できる。
9月2日から3日にかけてドイツで開催されるNokia World 09でNokia Moneyのデモが初披露される予定だ。また、一部の国を対象に2010年初めから段階的にNokia Moneyを開始する計画となっている。
今回のNokiaの動きは、モバイル市場への参入を試みるさまざまな金融機関に続くものだ。たとえば、米国の銀行USAAは先ごろ、同社の「iPhone」向けアプリケーションを改良し、顧客が自身のiPhoneを通じて小切手を預金できるようにした。またSprint Nextelのモバイルアプリケーション「MyMoneyManager」では、消費者が自身の携帯電話を通じて金融サービスの利用や請求書の支払いができる。
モバイルバンキングの人気は、当然ながらセキュリティとプライバシーをめぐる懸念を引き起こしている。だが一部の専門家はモバイル決済技術について、少なくとも当面の間は安全性を確保できると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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