ディー・エヌ・エーは5月1日、2009年3月期の通期連結決算を発表した。モバゲータウンの純広告やゲーム関連売り上げが好調で、第4四半期の売上高が創業以来初めて100億円を突破した。2010年3月期については、広告市場の先行きが不透明なことからゲーム課金に注力する考えだ。
2009年3月期の売上高は前期比26%増の376億700万円、営業利益は同25%増の158億4300万円となった。
主力事業のモバゲータウンは、売上高が前期比27%増の196億1400万円となった。ディーツー コミュニケーションズ(D2C)とサイバー・コミュニケーションズ(cci)の2社と独占契約した純広告の売り上げが好調だった。2社とは最低売り上げ金額を補償するミニマムギャランティ契約を結んでおり、「実売は過去最高」(ディー・エヌ・エー代表取締役社長の南場智子氏)になったという。タイアップ広告も第3四半期は苦戦したが、第4四半期には復調したとのこと。広告の売り上げの内訳は、純広告が78%、タイアップ広告が12%、検索連動型広告が10%。ページビューは3月に過去最高の月間187億PVに達している。
ゲーム内アイテムに課金することで収益を得ているモバゲータウンのゲーム事業については、月額の売り上げが約1億円となり、「順調に推移している」(南場氏)とした。花札など大人を意識したカジュアルゲームが人気で、ゲームを活用してコミュニティの活性化につなげたいと南場氏は話す。
モバイルサイト向けのアフィリエイト広告事業「ポケットアフィリエイト」の売上高は、モバゲータウンの取扱高が落ちたことで前期比3%減の89億4600円となった。特に上半期の落ち込みが激しかったが、下半期は他社のサイトに提供しているアフィリエイト広告が順調に伸びた。累積媒体社数は56万メディアとなり、検索連動型広告「ポケットマッチ」が特に伸びているという。
モバイル物販事業の「モバコレ」の売上高は、前期比49%増の21億7100万円となった。もともと109系ファッションを取り扱っていたが、カジュアルな洋服や男性ファッションも取り扱うようになったことで成長を続けているとのことだ。
決済事業の「ペイジェント」の売上高は前期比140%増の10億5100万円。通期で黒字化を達成したといい、「コンスタントに黒字を出す体質になった」(南場氏)と自信を見せた。
2010年3月期は売上高が前期比14%増の430億円、営業利益は同1%増の160億円を見込む。このうち、モバゲータウンの売り上げは同7%増の210億円となる見通し。2010年3月期からモバゲータウンの広告代理店にインタースパイアを加える代わりにミニマムギャランティ契約がなくなること、景況感が厳しいことから、モバゲータウン内の広告売上については減収を見込んでいる。
一方、モバゲータウンのゲーム事業については、「30億円くらいを見込んでおり、もっと伸ばしていきたい」(南場氏)とし、上期に10本以上の新規タイトルを投入する考えを示した。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は青少年が異性との出会いを通じて犯罪に巻き込まれるケースが増えているとして、警視庁がサイト運営者に監視強化を求めている。この件について南場氏は、「サイトパトロールだけでなく、啓蒙活動も実施していく」と取り組みを強化する考えを示す。モバゲータウン内での事件については、「把握できる限りにおいて、件数は減っている」とした上で、実数については「数字は一人歩きするので」と公表を避けた。
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