新たにNTTドコモの代表取締役社長に就任した山田隆持氏が、ワイヤレスジャパン2008の基調講演に登場。「ドコモの変革と新しいモバイルへの挑戦」と題し、ブランドロゴを一新して「新ドコモ宣言」を掲げた同社の目指す方向性を紹介した。
日本の携帯電話市場は契約件数が1億件を超え、成熟期に入ったと言われている。世界的に見ても2012年には携帯電話の普及率が80%まで拡大することが見込まれており、ドコモは3つの変化を掲げている。それは、新規獲得重視から既存顧客重視へ、キャリア主導から顧客主導へ、技術、機能主導からサービス、パフォーマンス主導への変化だ。これらはいずれも、顧客視点での変革でなければならないと山田氏は言う。
これに基づき、サービス対応から端末、ネットワークにいたるまで、すべてを見直す。たとえば、アフターサービスでは端末修理品の受け付けや受け取り方法の改善、会員サービス「プレミアムクラブ」の強化を実施。端末に関しては使いやすさの向上、ライフスタイルニーズに合わせた新たな端末ラインアップの充実を検討している。
サービスコンセプトとしては、「生活サポートケータイへの進化」を掲げる。携帯電話は、通話やメールといったコミュニケーションを実現するためのツールとして生まれ、その後ウェブサイトや動画などが閲覧できる情報アクセス機能を搭載。さらに、おサイフケータイなどの生活支援機能が加わり進化してきた。今後、このような役割に加えて、個々のユーザーに合わせて行動を支援する存在になっていくというのだ。
たとえば、お気に入りの野球チームやサッカーチームの情報を自動的に取得したり、試合日程や試合結果をスケジューラーに登録したり、チケットを簡単に購入できるようにしたりする。このほか、運転エリアを設定しておくと渋滞情報を知らせるサービスや、近所のスーパーの特売情報を通知するサービス、外出先の地域で自分の興味のありそうな油絵の個展を案内するサービスなど、日々の生活の中で、ユーザーが必要とする情報を知らせるプッシュ型のエージェントサービスを目指しているとのことだ。
もうひとつドコモが進めているのが、携帯電話とほかの機器などとを融合したサービスだ。自動車の道路交通情報システム(ITS)や情報家電、放送などとの融合を模索している。これが実現すれば、ユーザーは状況に応じて最適な端末、最適な通信環境を使い、さまざまなアプリケーションを利用できるようになるという。
これらのサービスを実現するためには移動通信ネットワークの高度化も重要になると山田氏は言う。ドコモでは2010年に下り最大300Mbps、上り最大75Mbpsの通信が可能なSuper 3G(LTE)のサービスを開始する予定だ。2006年からシステムの開発に着手にしており、2008年2月には屋外で下り250Mbps、上り50Mbps程度の通信に成功している。ドコモではSuper3Gの実現にあわせてネットワークのIP化も推進。端末からコアネットワークまですべてをIP化する計画だ。
端末の開発については、開発コストを削減するため、プラットフォームを絞っている。ドコモはSymbian Foundation、Linux系のLiMo Foundation、Android系のOpen Handset Allianceという標準化組織に参加しており、世界の動向と歩調を合わせている。また、ドコモ向けサービスのためのアプリケーションセットをオペレーターパックとして端末メーカーに提供。端末の価格低減、海外メーカーの参入促進、国内メーカーの海外進出促進を図るとした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力