18歳未満の青少年が犯罪等に巻き込まれるのを防ぐために、出会い系サイトなどへのアクセスを遮断するフィルタリングサービスを原則として利用させるようにする施策がモバイル業界に大きな波紋を広げている。
CNET Japanでは2月、この問題に関して携帯電話事業者やモバイルコンテンツプロバイダー、コミュニティやブログサービスを提供するサービスプロバイダー、業界関係者などにアンケートを実施(質問項目については5ページ目を参照)。37社・団体から回答を得た。今回はその結果から、フィルタリングサービスが利用者や業界に与える影響について見ていく。
今回のアンケートは携帯電話のみに限ったものだが、インターネット全体の安全性を考える上でも、示唆に富むものとなっている。
まず、フィルタリングサービスを青少年が原則的に利用するようにするという総務省の一連の施策については、「賛成」が6件、「部分的に賛成」が20件、「反対」が3件となった。
賛成の理由としては、「子どもを守る上で意義がある」といった旨の回答が11件ともっとも多い。特に、実際に子どもを持つ親の目線からは肯定的な意見が多く、「子どものいる親の立場として考えれば、安心して子どもにモバイルを使わせるという点で有意義」(サーチテリア)、「事業者に限ってではあるが、利益を上げるためならば何をしてもよいという行為は取り締まり、排除すべき」(Yicha)といった声が聞かれた。
ただし、監視体制を整えているコミュニティサイトや、一般サイトなども一律に制限されてしまう点を懸念する声は多い。「教育機関やNPOなど公式サイトになれない優良サイトも制限を受けてしまう」(ジェイマジック)、「明確なガイドラインを定めてほしい」(Yicha)、「フィルタリングの範囲については、十分な検討が行われた後に決定されるべき」(ライブドア)など、運用面での課題を指摘する声は多かった。
この点については、4月8日に発足した「有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)が、青少年が利用しても問題ないサイトを認定し、フィルタリングの対象から外すよう働きかける予定で、コンテンツプロバイダーからの期待も大きいようだ。実際、EMAの設立発起人にはインデックスやディー・エヌ・エー、魔法のiらんどなど、多くのコンテンツプロバイダーが名を連ねている。
また、「フィルタリングだけで解決できる問題ではない」(NTTレゾナント)というように、フィルタリングサービスは問題解決策の1つでしかない、という意見もあった。「これによって『一応手は打った』という答えに安直につながってしまうことだけは避けなければならない」(NTTレゾナント)
反対意見としては、事前の調整なく、いきなり通達を出した総務省のやり方に対する不満の声が聞かれた。「あまりに唐突で、準備期間としても比較的短く、厳しすぎる内容」(シリウステクノロジーズ)、「やり方がザルで荒っぽい」(Yicha)
また、フィルタリングサービス自体が、青少年や親権者に十分に理解されていない現状への疑問の声もある。「フィルタリングでどのようなサイトが規制されるのかが理解されないまま導入されてしまうことによって、ユーザーに混乱をきたす可能性がある」(ディー・エヌ・エー)、「(フィルタリングサービスの)弊害が保護者と利用者に十分浸透していない」(楽天)
さらに、現在提供されているフィルタリングサービスへの疑問を呈する声もある。「サイトがどのカテゴリの分類に属するかという判断や、どのカテゴリをNGとするかが一民間企業の判断に委ねられてしまっている。また、ワードフィルタ(※編集部注:サイト単位ではなく、ページに含まれている単語を元に有害かどうかを判断し、フィルタリングする方法)を装備していないため、新しいサイト(ページ)に対応できない」(ヤフー)、「技術的に成熟性および公平性に少々欠けると思われるため、現時点では時期尚早の感が否めない」(マイクロソフト)
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