携帯電話のフィルタリングサービスに未成年者を原則加入させる携帯電話キャリアの施策が議論を呼ぶ中、有害な情報から青少年を守るにはどのようにしたらいいのだろうか。このような問題について議論する、ネット安全安心全国推進会議 主催の「ネット安全安心全国推進フォーラム」が3月14日、開催された。
ネット安全安心全国推進会議はネットの有害情報や犯罪から青少年を保護することを目的にした機関で、文部科学省が2007年11月に設立した。今回開かれたフォーラムでは、ネットを利用したトラブル、犯罪に巻き込まれている児童の実態を紹介するとともに、そうした問題に対応している地域の取り組み事例を披露し、関係者どうしが意見交換した。
冒頭で主催者を代表して挨拶した、ネット安全安心全国推進会議会長の西原春夫氏は「現在の携帯電話のフィルタリング機能は、よい情報までをも遮断してしまったり、情報の良し悪しを判断する基準も不明確だという問題がある。青少年のネット犯罪被害を抑制するためには、まずは実態を知ることが必要。さらに、技術は日進月歩であることを考慮して、判断基準を考えなければならない」と語った。
続いて、財団法人インターネット協会インターネットホットライン・センター・副センター長の吉川誠司氏が講演。2006年6月にインターネットホットラインセンターが運用を開始してから現在までに寄せられたトラブル事例の1つとして、「闇の職業安定所」を紹介した。
闇の職業安定所は、麻薬の売買や犯罪の人材募集等、非合法な情報交換を行うインターネットの掲示板として、度々メディアにも取り上げられたことのあるサイト。吉川氏によると未成年者が同サイトに書き込みを行っている実態が把握できたという。「最初は子どものふりをして書き込んでいると思ったが、メールアドレスをGoogleで検索してみたところ、少女の“プロフ”が発見でき、書き込み主が未成年者であると判明した」
さらに吉川氏は、「一般に有害サイトと指定されるところだけが有害というわけではない。出会い系サイトでなくても、子どもが危険な目に遭うサイトはある」として、未成年がネットを通じて犯罪に巻き込まれるケースが多数存在する実態を説明した。
また、社団法人全国少年警察ボランティア協会の松浦眞紀子氏は、保護者と子どもたちの携帯電話に対する認識の違いを指摘。「携帯電話に対する保護者の認識は、移動電話だという程度。携帯電話がインターネットに接続できることを知らない保護者が多い。さらに最近はパケット定額制の利用で、子どもたちのネット利用量はますます増長してきている。いまやゲームサイトが出会い系として利用されている」として、吉川氏同様、あらゆるサイトで児童がトラブルに巻き込まれている実態や、未成年者が自ら撮影したわいせつ画像などをネットに掲載している事例を紹介した。
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