しかし仮に、消費電力に対する懸念があまりに大きいがために、Appleは3G対応iPhoneのモデムの消費電力が低下するまで、同製品のリリースを延期したという話が真実であれば、279ミリワットや500ミリワットの消費電力でも、携帯電話、特にApple製の携帯電話にとってはまだ大きすぎる。しかし、以前話題になった噂の「Return of the Newton」などの強力なハンドヘルドのような製品であれば、この程度の消費電力でも十分有効だろう。しかし、IntelがSilverthorne時代の端末として過去1年間に発表してきたコンセプトデザインを考えると、Return of the Newtonは、Ultra-Mobile PC(UMPC)やソニーのPlayStation Portable(PSP)といった携帯型ゲーム機のような、携帯電話よりもはるかに大型の機器のようだ。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏とIntelのCEOであるPaul Otellini氏の緊密な関係に加え、Otellini氏が低電力設計に傾倒していることを考えれば、AppleとIntelが将来の携帯電話やモバイルコンピュータの分野で協力したとしても全く不思議はない。しかし、少なくとも、2009年まではそれはないと考えている。Intelは2009年にMoorestownと呼ばれるチップをリリースすることを計画している。このMoorestownチップの動作電力は、現在のARMアーキテクチャと同じミリワット単位になると見られている。IntelがMoorestown時代のプロジェクトとして披露した一部のコンセプト機器は、iPhoneに酷似していた。
Appleは、iPhoneやiPod touch に搭載されるOS XオペレーティングシステムをARM命令セットで設計する必要があった。というのは、現在スマートフォン用として他に現実的な選択肢がないためだ。しかし、Appleは同社の全てのソフトウェア(iLife, iWork, GarageBandなど)をARMに移植するために必要な開発資源を調査し、それに要する時間と労力の多さにたじろいでいるかもしれない。仮に、ARMのパートナー企業が開発したチップと消費電力、性能の両面で同等、あるいはそれらよりも優れているx86チップをIntelが提供できれば、それは大変魅力的な製品であり、Intelにとって携帯電話メーカーに対する恰好の宣伝材料になるだろう。
無論、ARMのパートナー企業もそれまでにデュアルコアチップを発売しているだろう。デュアルコアチップが開発されれば、ARMは、消費電力ではIntelと同水準を維持しつつ、性能面でIntelに対し圧倒的優位に立つことになる。しかし、(それはまだ当分先の話なので)この点について考える時間はたっぷりと残されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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