かねてよりGphoneとして話題になっていたGoogleの携帯電話向け戦略がついに明らかになった。携帯電話端末向けソフトウェアセットAndroidとその普及推進母体であるOpen Handset Allianceがもたらす「携帯電話の未来」とはいかなるものだろうか。
海外の携帯電話大手と組んで検索機能を携帯電話端末へ組み込んだり、日本でKDDI(au)とのパートナーシップにより携帯電話における検索サービスや移動・固定網ISPに共通したメールサービス「au one」を提供したりすることで、移動体通信への興味を強めていることを示してきた検索大手のGoogleが、移動体通信領域の中核的な戦略をついに明らかにした。
発表されたのは、移動体通信端末におけるオープンなプラットフォームの採用を推進するOpen Handset Alliance(OHA)の設立、そしてAndroidと呼ばれるOSからアプリケーション環境までを定義したソフトウェアアーキテクチャの無償公開である。
Androidの推進団体であるOHAには、全世界の携帯電話関連の大手企業(Intel、Qualcomm、Motorola、Samsung、HTCなど携帯電話の製造関連事業者、T-Mobileやチャイナモバイルなどの移動体通信事業者など。日本からはアプリックス、KDDI、NTTドコモが参加)など30社以上が参加している。
また、Androidは、Linuxカーネル(バージョン2.6)上で動作するネイティブライブラリや、Java言語で記述されたプログラム向けのGoogle独自開発のラインタイム環境「Dalvik」など5つのコンポーネントから構成される。これにより廉価な端末の提供が可能になると同時に、様々な移動体通信端末で利用可能なアプリケーションを容易に製作することができるようになるだろう。
もちろん、OHAに多数の参加者や賛同者がいるといっても、それぞれのプレーヤーの思惑はかなり異なると思ったほうがいい。また、Googleの本拠地である米国であっても、2大勢力であるAT&TとVerizonは取り込めておらず、世界最大の携帯電話製造事業者であるNokiaとはOSなどの使用という点で真正面からの勝負となっていることもあり、優位にあるとはいい難いというのが現実だろう。加えて、ハードの開発スピードという点を考慮すればいよいよ、Androidの成否が見えてくるのはずいぶんと先だろう。
Googleが直面するこの状況を一転させるためのアクションが、米国における携帯電話事業者免許の獲得だといわれている。米国でアナログTVが利用してきた700MHz電波帯が携帯電話事業向けに解放され、その利用免許がオークション形式で競売されており、AT&Tなどの携帯電話サービス事業者と並んでGoogleが入札に加わっている。Googleは事業そのものは別の事業者に運営させるが、経営には関わるといったMVNO的な形態をすると言われており、その際にAndroid を採用した端末を採用させることを条件にするはずだ。
仮に、Googleがオークションで事業者免許を獲得したとしても、MVNO的なモデルが決して順調ではない米国の状況を考慮すると、新興勢力であるGoogleが先行するAT&Tなどのプレーヤーにどれほど対抗できるかは未知数だ。
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