物事は良くなる前にいったん悪くなるものだと言われており、この件も実際そうなったようだ。
米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気庁(NOAA)の科学者たちは、南極上空のオゾンホールの規模が拡大していると発表した。
NASAとNOAAの共同声明によると、NASAの衛星「Aura」に搭載された「Ozone Monitoring Instrument」(オゾン監視装置)で、米国時間2006年9月21日〜30日の間に南極上空に広がったオゾンホールが1060万平方マイル(約2750万平方km)に達しているのを観測したという。
これは観測史上最大級の平均値だと、メリーランド州グリーンベルトにあるNASAのゴダード宇宙飛行センターの研究者、Paul Newman氏は述べた。単一の日におけるオゾンホールの面積としては、2000年9月9日に最大の1140万平方マイル(約2950万平方km)を記録している。
共同声明によると、南極上空のオゾン層は、地表から約12.4マイル(約20km)のところで高濃度の塩素系化学物質によって破壊されたという。このデータは、9月にAuraで行った観測のほか、南極の成層圏における自然の気候変動に基づいて算出されている。
オゾン層はまた、大幅に薄くなっているうえ、とぎれとぎれになっていると、NOAAの科学者たちは述べた。
オゾン層の厚さはドブソン単位(DU)で表される。NOAAの地球システム調査研究所が測定したところ、南極のオゾン層は、7月半ばは平均値300DUだったが、10月9日には93DUにまで激減していた。7月と8月に125DUの厚みがあった区域の一部では、1.2DUという記録的な薄さが観測された。
「この数値は、大気中のこの層でオゾンが事実上なくなっていることを意味する」と、地球システム調査研究所のGlobal Monitoring Division担当ディレクターを務めるDavid Hofmann氏は、声明の中で述べている。
この共同声明は、こうしたオゾン層の状態は晴天の霹靂(へきれき)というわけではないと指摘している。
世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)がまとめた2006年版「Scientific Assessment of Ozone Depletion」(オゾン層破壊の科学アセスメント)は、オゾン層を破壊するガスを削減するための国際合意である「モントリオール議定書」に従い、さまざまな努力が行われているにもかかわらず、オゾン層が過去の汚染の影響から完全に回復するには2065年までかかるだろう、との結論を出している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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