シード・プランニングでは、PC向けの広告効果測定ツールを、以下のように定義し、市場規模・シェアを金額ベースで推定した。
1位の「オプト」は、広告効果測定を広告主のネットマーケティング戦略支援サービスの一環と位置づけ、自社クライアントを中心に、広告販売と同時に、広告効果測定ツールを積極的に提供している。広告効果測定専門のツールとしては、シェアNo.1であり、市場に広く普及している。
次に、「ロックオン」が提供している「ADエビス」は、低価格から使用可能で、精度が高く操作性に優れている本格的なツールとして人気がある。独立したツールベンダーであり、他の広告代理店が提供するツールのように、広告主が代理店ごとのクライアントになりがちとなる制約はなく、販路を広げて急速に売上を拡大し、シェアを大きく伸ばしている。
広告効果測定ツールは、単独機能ツールとして提供している事業者もあれば、ログ解析、LPOの機能に加え、オンラインマーケティング機能の一部機能として提供している事業者もある。今回の市場定義の範疇には、ウェブ解析ツール「Ominiture SiteCatalyst(サイトカタリスト)」がその対象として当てはまる。SiteCatalystは、アクセス解析機能をはじめとする様々な機能を持つオンラインマーケティングツールである。
しかしながら、広告効果測定機能はSiteCatalystが持つ全体の機能のほんの一部にすぎず、他の「広告効果測定ツール」との比較は一意的に出来ないため、市場シェアの対象から除外した。SiteCatalystは、市場においてはウェブ解析ツールとして認知され、ナショナルクライアントのような大手企業を中心に急速に普及し、売上を拡大させている。
シード・プランニング定義の広告効果測定ツール定義外では、日本におけるASP型アクセク解析ツールの先駆けである「デジタルフォレスト」の「Visionalist」や、同様にアクセス解析ツールとして認知されている「オーリック・システムズ」の「RT−metrics」等が、広告効果測定ツールとしても広く認知され、広告主企業に浸透している。
次に流通ルートについてであるが、広告効果測定ツールは、広告代理店を通して提供されることが主流となっている。
また、広告代理店から広告主に対して、無償でプロモーションツールとして提供されることもある。
広告効果測定のサービス提供状況について、シード・プランニング広告主アンケートによる結果から以下のことが明らかになった。
アンケート結果からは、広告主のうち自社、代理店への依頼にかかわらず、広告主の8割弱が広告効果測定を実施しており、その関心の高さが明らかである。また、広告効果測定を実施している企業のうち約75%が、有償または無償ツールを導入している。ネット広告出稿企業48社中8社(約17%)が有償ツールを使用して自社で広告効果測定を実施しており、その費用のネット広告費に占める割合は約3.6%という結果が出た。
広告効果測定ツールは、当初は広告代理店サイドからの提案による導入が多かったが、近年では逆に、広告主からの引き合いも多くなっており、「感覚的には、2007年(1-7月期間)では、2006年に比べると約3倍の案件を扱っている」との、ある大手広告代理店の声もある。
シード・プランニングでは広告効果測定ツールの2012年までの市場規模を以下のように約120億円規模の市場になると予測する。
予測根拠は以下の通りである。
ただし今後は、広告効果測定単独ツールのみではなく、SiteCatalystのようなウェブ解析機能、LPO機能、広告効果測定機能及び、広告自動入札・出稿機能等を統合したオンラインマーケティングツールとして提供する事業者が増えることが想定され、その場合の2012市場規模は、200億円を超えることも想定される。(シード・プランニング担当:野下智之)
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