自社コンテンツは「iPhone 3GS」ユーザーに届いていますか?

栗原悠(アウンコンサルティング)2009年10月08日 19時13分

 耐久消費財を中心としたプロダクトに関する市場動向調査を行うGfK Japanの調査によると、2009年7月に国内主要量販店を対象とした携帯電話端末の販売ランキングで、Appleの「iPhone 3GS」が月間販売台数1位を獲得した。

 筆者自身も友人や知人から「iPhoneに換えました。登録をお願いします」というメールを受け取ることが多くなった。このような調査結果や身近な事象を鑑みると、iPhoneユーザーは着々と増加の一途をたどっていると推察される。

 こうした市況にあって、今回はiPhoneとSEOについて触れていきたい。

 iPhoneのホーム画面にはAppleが独自に開発したウェブブラウザ「Safari」のアイコンが置かれている。そこから検索するとデフォルトで「http://www.google.co.jp/」へアクセスする。

 iPhoneはユーザーを、PC版のGoogleへ誘導し、PC版Googleの検索結果を閲覧させ、PC版のhtmlへアクセスさせるといった仕様になっている。

 また、実際に「http://www.google.co.jp/m」へアクセスし、キーワード検索をした場合、検索結果のURLは「http://www.google.co.jp/m/gp#/m/search?uipref=***&channel=gp1&og=gp&source=gp」(***部は検索クエリ)となる。

 URLのみを見れば、モバイル用の検索結果へアクセスしたように見えるが、実際の検索結果に表示されるのはPC版(と同様)のものが表示される。

 iPhoneは携帯電話端末であるのにも関わらず、Googleモバイルの検索結果へはアクセスできない仕様ということになる。3.5インチのマルチタッチディスプレイ(画面解像度:320×480ピクセル)を実装しているため、従来の携帯電話端末よりはPCサイトの閲覧に向いている。

 とはいえ、そもそもPCサイトは17インチ程度の画面を想定した仕様となっているため、iPhoneからサイトを俯瞰する場合は文字が小さく、視認性が悪化する。また、隣接したリンクはクリックしにくい。

 さらに、画面を拡大すると、3.5インチの画面上に表示されるのはサイトの一部となってしまうのでユーザビリティに影響してくるという課題が持ち上がる。

 また、YouTube以外の一般のFlashには対応していないため、iPhoneからアクセスしても、テキストが数行記述されている以外はほとんど真っ白というページが存在してしまう(筆者の確認した限りでは、アパレルブランドのサイトに多く見られる)。

 iPhoneをハンディインターネットデバイスとして位置づけて利用するユーザーもいるなかで、こうした課題から生じるデメリットは大きい。

 言い換えると、iPhoneからのアクセスユーザーに対してはウェブページを通して有意義に情報を伝達できていないサイトが多く存在し、完全包囲網の綻びからビジネスチャンスがこぼれ落ちているという状況にあるサイトは少なくない。

 仮に、iPhoneユーザーも貴社サイトのメインターゲットとなりうるのであれば、httpヘッダー情報のUser Agentに「iPhone」を含むアクセスに対しては、機会損失最少化のためにもPCサイトとモバイルサイトを選択させる画面を表示させ、誘導先を振り分けるアレンジをしてはいかがだろうか。

 SEOを、検索ユーザとの接触機会の最大化を達成するための取組みと捉えた場合、ユーザーの求める的確なコンテンツへ誘導させることは、非常に重要な要素の1つである。コンテンツへアクセス不可能な端末や環境を極力排除することがSEO成功のカギとなる。携帯電話端末のスペックが日進月歩である昨今では、なおさら注目すべきである。

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