国内外のマーケティング担当者や広告関係者を集めたイベント「ad:tech Tokyo 2009」2日目の9月3日には、ウェブ解析サービス「SiteCatalyst」などを提供するOmnitureの共同創業者兼最高責任者(CEO)のJosh James氏が基調講演に立った。
講演のテーマは「データを活用したデジタル戦略の最適化」。James氏によると、Omnitureの四半期あたりのトランザクション数は1兆で、1秒あたり25万にのぼるという。「トランザクションの数やウェブサイトの検索件数でこれだけの数字を誇る企業は我々が知る限りほかにない」と自信を見せた。
しかし一方で、「このトランザクションの95%以上は最適化できていない」と話す。「マーケティング担当者は売り上げを伸ばすために追加の広告予算を要求する。しかし、サイトにはもうすでに100万人規模の人たちが訪問してきている。それにもかかわらず実績が表れないというのは、カスタム化された顧客体験が提供できていないからではないか」と指摘する。
James氏によると、オンラインマーケティングにおけるカスタマイズされた顧客経験の提供は、すでに1990年代後半から2000年ごろには多くの企業が試みていたという。しかし、それが実現できなかった理由は、第1にデータが存在しなかったからだという。
「いまや我々には顧客経験をパーソナライズしてリアルタイムに提供するためのデータも技術もある。例えば、ウェブサイトをクリックしたり、携帯電話でバーコードを読み取ったりという、オンラインにおける顧客のあらゆる活動がすべてデータとなり、チャンスとなる。1つ1つの顧客の行為を我々は原油のようにデータとして吸い上げ、リアルタイムで最適化し、広告資源として収益化できるようになっている」(James氏)
さらに、James氏はデータの活用場所を、“集客”“コンバージョン”“顧客維持”の3つのフェーズに分けて説明した。まず集客について、「我々の顧客は、GoogleやYahooなどの検索エンジンで何万ものキーワードを購入している。しかし、これほど膨大に購入したキーワードを管理するのは不可能に近い。本当に必要なのは、キーワードの購入を自動化し、コンバージョンの結果を出してくれるシステムだ」と主張する。
次にコンバージョンについては、「ユーザーは検索エンジン経由でランディングページにたどり着く。ランディングページというのは、コンバージョンときちんと結びついていなければならない。そこで、データを管理することでコンバージョンを上げるということを考えてほしい」と述べた。
最後に顧客維持については、「具体的に顧客にどんなメールを送ればいいか、実際にセグメント化できている企業は少ない」と語る。顧客維持の観点からも、オンラインマーケティングにおけるデータの最適化が重要であることを繰り返し強調した。
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