App Annieは2月10日、2015年から2020年までの世界のアプリ市場に関する市場予測をまとめた「モバイルアプリ市場レポート」を発表した。App Annie は、世界規模のアプリの市場データと分析ツールを提供。これまでもアプリ市場に関するレポートを発表していたが、同社が“この先の予測”といった形のレポートを行うのは初めてという。
そのレポートによれば、世界のモバイルアプリストアにおける収益総額は、2015年から2016年の1年間で24%増の509億ドル(約5.7兆円)となり、2020年には1011億ドル(約11.3兆円)に達する見方を示した。ことアジア太平洋地域におけるアプリ収益は、中国市場の成長にけん引される形で、2020年には2.5倍に成長し、575億ドル(約6.4兆円)に達すると予測している。
なお、ここでいう収益は、有料アプリのダウンロードやアプリ内課金といったアプリストアを通じて直接支払われるものだ。例えばアプリで情報収集を行い、実 際の店舗で物品を購買したり飲食したりするような、アプリストアの外側で決済される収益は含まれない。
カテゴリー(ジャンル)別においては、以前からゲームカテゴリーの比率が大きく、2015年は全アプリストアの85%以上を占めているという。予測ではこの先もゲームが収益において高いシェアを保つものの、非ゲーム系のシェアが増えていくとの見方を示した。その要因として、音楽や動画のストリーミングサービス、マッチング系アプリでのサブスクリプションモデルの成長を挙げている。
アプリのダウンロード数は、2015年から2016年にかけては33%増の1473億件となり、2020年には2843億件になると予測。なお中国が最もダウンロード数の多い国であり、世界のダウンロード数のおよそ3分の1を占めるという。近年ではインドからのダウンロード数も急増しているが、2020年も中国がダウンロードの最大の牽引役であり続けるとの見解を示している。
アプリストア別のダウンロード数においては、2020年においてGoogle Playのトップは変わらず伸び率も高くなるとの見解を示した。これはインド、メキシコ、ブラジル、インドネシアといった、スマートフォンの普及率が低い新興市場でのスマートフォン普及拡大にともなう、モバイルアプリの利用ユーザーの増加が見込まれることを挙げている。一方のApp Store(iOS)は、端末が普及して成熟しているため成長は続くものの伸び率は低いと見ている。そしてこの2大ストアと呼ばれるところ以外の、サードパーティAndroidストアが隠れたマーケット規模を持ち、伸びていくという予測もあわせて示した。これは、中国においてGoogle Playが展開していないためであり、無視できない数字になるという。
アプリストア別の収益については、現在トップとなっているApp Storeが、2015年の2倍となる448億ドルでトップの座を維持し続けるだろうと予測。ただし、Google PlayとサードパーティのAndroidストアを合わせた収益は2020年で557億ドルを見込み、App Storeを超えると見ている。
説明を行った日本と韓国におけるカントリーディレクターを担当している滝澤琢人氏は、「モバイルアプリは、生活者が持つ身近なパーソナルデバイスに対して直接働きかけるツール。今後、生活者の重要なインターフェースとして、あらゆるサービスの入口になっていく」と語り、これまではウェブが情報収集などの入口となる役割となっていたが、似たようなスペックで共通のアプリが動作するスマートフォンのようなデバイスが全世界規模で普及した事例はなく、ウェブでの役割がモバイルアプリに置き換わっていくのではないかとの見解を示した。
そしてアプリのエコシステムはアプリストアの中だけではなく、外でも広がっていくと説明。実際、Androidスマートフォンにおけるアプリの総利用時間は、2014年から2015年を比較して63%増加。特にメディアや動画、交通やショッピングの増加が著しい伸びを見せ、Eコマースや広告といったアプリストアの外側の収益も大きく成長していくことが予測されるとした。
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