博報堂は7月1日、「生活者共創型コミュニティメディア」を運営する新会社「VoiceVision」を同日付けで設立したと発表した。資本金は2500万円で、出資比率は博報堂が90%、ウェブサイト構築や運営、マーケティング支援などを展開するメンバーズが10%。従業員は4人。
博報堂は、2011年10月より生活者共創型の未来創りコミュニティ「VoiceVisionβ版」を運営してきたが、“共創”に向けた新たな手法の確立と、クライアント企業に向けて本格的にサービスを提供できる体制が整ったため、独立した事業会社としてスタートさせた。共創について同社では、「ソーシャルメディアが浸透し、スマートデバイスの急速な普及によって生活者自らの発信力が高まってきたことを背景に、企業が一方的に商品や情報を提供・発信する時代から、生活者との対話で“共創”しながら進めるマーケティング活動に注目が集まってきている」と説明している。
新会社のサービスは、オンラインとオフラインを通じたコミュニティによって、リサーチから商品開発などのアイデア企画とプロモーションまでを、ワンストップで実現するフレームワークを提供する。これまでのリサーチや商品開発などのマーケティング活動は企業内で秘密裏にクローズドで展開されることがほとんどだったが、戦略的にオープンな活動にすることで、誰もが自由に参加・発言できる場を作るという。そして、数千から数万人までの参加者をうながすことによって、商品の発売前からファンを育て、発売する時にはすでにファンがいる状態を生みだす方式を開発した。
また、ソーシャルメディアでの拡散を計算した情報設計によって、コミュニティの認知を数十万人の単位でリーチさせることを可能にし、このコミュニティ自体をメディアとすることで、プロモーションの場として広めていく。これらを総称して「コミュニティメディア」として、生活者の声を聞き、新しい需要やアイデア創出を目指す企業や官公庁に向けてサービスを提供する。
さらに、強みとしているのはトレーニングを積んだマーケティング経験のある専門のファシリテーターが参加者全員の発言に返答し、参加者間の相互作用を引き出しながらディスカッションを進める「ファシリテーションクリエイティブ」という技術を取り入れたことだとしている。これにより、生活者の中で潜在的に埋もれている価値を発掘する“引き出し力”と、引き出した声を大胆に解釈して新しいアイディアを創出する“生み出し力”によって、生活者発想を進化させた生活者“共創”という新ビジネス形態を構築しているという。
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