永井美智子(編集部)
2008/07/11 08:00
アップルのiPhoneが7月11日、ソフトバンクモバイルからついに発売された。iPhone向けのアプリケーション販売サイト「App Store」には、日本企業により開発されたアプリも並んでいる。
そこに参入した企業の1つがハドソンだ。往年のヒットタイトル「ボンバーマン」をiPhone向けにリメイクした「BOMBERMAN TOUCH -The Legend of Mystic Bomb-(ボンバーマンタッチ ザ レジェンド オブ ミスティックボム)」のほか、物理計算で画面内の水の動きをリアルに表現しながら、端末を傾けたり画面に触ったりして水を動かし、パズルをクリアしていくゲーム「AQUA FOREST Powered by OctaveEngine Casual(アクア フォレスト)」など、新たなジャンルにも挑戦している。また、9つの数字を縦横1つずつになるように埋めていく「SUDOKU(数独)」もある。価格はBOMBERMANとAQUA FORESTがそれぞれ900円、SUDOKUが700円だ。
ゲームソフトメーカーにとって、iPhoneはどこが魅力的なのか。今までの携帯電話やゲーム機とiPhoneは、一体何が違うのだろうか。ハドソン執行役員ネットワークコンテンツカンパニー プレジデントの柴田真人氏に聞いた。
iPod touch専用サイト「Do the Hudson!!(β)」を昨年12月に開設したのですが、ちょうどそのころから、JailBreak(※編集部注:iPod touchやiPhoneの脆弱性を利用することで、ユーザーが好きなアプリケーションをインストールできるようにする手法のこと)を利用したiPhone向けアプリの映像がYouTubeに投稿されるようになって、「何じゃこりゃ?」と思ったんです。そして、そこに投稿されているさまざまな動画を見たとき、ゲーム屋として「これは大変なことになるかもしれないな」と、強く感じたんです。
鉄の玉を転がして迷路を移動させるアプリを見て、この端末は一体どうなっているのかと。非常にセンシティブな加速度センサと、それに対応するソフトウェア。そこにまず衝撃を受けました。
その後、「iPhysics」(画面上に書いた線や点が形になり、画面上で動くというもの。重力や加速度などの物理計算を加えることで自然な動きが再現されている)などを見て、「これはすごいな」と。端末のポテンシャルもそうですし、インターフェースをうまく使うことで、すごいソフトウェアが作れるのかもしれないと感じましたね。
それから、日本での認知度がものすごく低いとも感じました。(iPhoneがすごいと)騒いでいたのは本当に一部の人だけで、ほとんどの人が知らないのが多分当時の状況だったんじゃないですかね。私もハドソン社内で「これはすごいよ」と言っても、ほとんどの方が初めて(アプリの動画を)見るという感じで、全然知らなかった。「え、こんなことができるんですか」と。
逆に、そのときに思ったのは、日本のプログラマーのコアな連中も知らないんだなと。英語の壁もあるでしょうし、「どうせまだ日本には来ないし」みたいなイメージもあったと思うんですが、とにかく日本にすごく情報が少なかったので、これは今のうちに動いておくと、大きなチャンスになるのではないかと感じました。
ただ、日本にiPhoneは当面来ないだろうなと思っていて、北米を中心にビジネスをしようとそのときは考えていました。
素材としては充実しているのですが、我々は家庭用ゲーム機向けソフトの開発を経験しているので、それに比べるとまだまだ、というところはあります。
ただ、ゲーム機の場合はソフトウェアの開発時にハードウェアも作っている状況なので、問題が起きたときに、ハードウェアが原因なのか、ライブラリが原因なのかがわからないということが往々にしてあります。iPhoneの場合はすでにハードウェア(iPhone 2GとiPod touch)が出ているので、安心感はありました。
端末にはそれぞれの特徴があるので、どれかが絶対的に良いということではないと思います。例えばニンテンドーDSには2画面あるとか、タッチペンが付属しているので文字入力がしやすいとか。PSPは画面が大きくてきれいだとか。それから、端末の値段もあります。
携帯電話について言うと、我々は海外も含めてずっと携帯電話向けのビジネスをやってきていますが、日本はこの2年ぐらいでかなり厳しい状況になってきています。大手企業が上場を廃止したり、廃業したりしている。海外を見ても、韓国、欧州、米国とかなり厳しくなっている。
その最大の理由は、どれもがほぼ間違いなく、通信事業者がすべてを仕切っていたことにあります。日本の場合は通信事業者が主導してくれたおかげで比較的安定していたのですが、海外の場合は通信事業者が自分たちのビジネスのことしか考えていなかったので、例えば売り上げの50%を持って行かれたりとか、出したいコンテンツを一切出させてもらえなかったりということがありました。
また、海外は月額課金モデルではなく、都度課金モデルがほとんどなので、収益モデルとして不安定だったということもあって、ほとんどビジネスにならなかったんです。しかも、あまりにも多様な端末にアプリを移植する必要がありました。
これは携帯電話向けアプリの開発を経験したことがある人でないと分からないと思います。海外向けの場合、携帯電話に移植するだけで1000万円規模のコストがかかるときがあるんです。それぞれの端末に合わせるためだけに、半年近くかかります。
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