モバイルには検索よりリコメンド--「西村博之氏+ドワンゴ」の挑戦 - (page 3)

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:浅賀美東江
2006年01月01日 08時00分

--サービスは広告収入のみで運営していくのですか。

杉本氏:はい、基本的に広告収入で運営する方針です。ニワンゴが取得する個人情報はメールアドレスのみですが、厳密に言うと登録制のサービスになります。ユーザーから最初にメールを送ってもらった時の返信メールで利用規約を送り、ニワンゴサービスを使う意思を確認します。その中で次回以降広告メールが送られてくる可能性があることや、広告によってこのサービスが運営されていることを伝えます。

 検索結果のメールと一緒に広告メールを送るのですが、あくまでもユーザーの入力したキーワードに沿った、いわゆるセグメント的な情報ですね。あとは検索結果のメールの中にテキスト広告が入っている場合もありますし、クーポンのように検索結果自体が広告という場合もあります。そこは広告主や情報提供するパートナー企業と広告を出すタイミングや体裁も含めて話し合っていく部分ですね。

 メールに広告を入れるということは、高い効果が見込めますが、ユーザーにはストレスがかかる場合もあります。一番適切で効果的なタイミングを模索中です。

西村氏:ウェブの検索エンジンの場合、検索結果を表示した時点で終わりですが、ニワンゴの場合はユーザーのメールアドレスという確実な連絡先を把握しているので、後からフィードバックをすることも可能なんです。

 例えば「沖縄」と「旅行」というキーワード検索が多いとなった場合、「沖縄旅行」のキャペーンを企画して広告メールを出すなど、後から広告商品を生み出すことができます。また、「ライブ」「お笑い」というキーワードが多く検索されているとしたら、既にデータとして数字を持っていますから、「動画配信をやりませんか」と事務所に企画を持っていきやすいですね。

--広告関連ではどんな業界からの引き合いがありますか。

杉本氏:具体的に相手先を明かすのは控えますが、インターネットにすでに広告を出している企業から興味を持たれています。意外だったのは、テレビCMを流しているようなナショナルクライアントからの反応が良いことでした。携帯電話ユーザーにアピールしたいという要望はあっても、今までその手段がなかったという理由があります。

--海外展開は。

杉本氏:技術的には可能ですが、まだ考えていません。

西村氏:サービスの仕組み自体は、似たようなシステムの開発に携わっている人なら「大体こういう感じで動いているだろう」というのは容易に想像できると思います。問題はそれをどうユーザーの嗜好に結び付けていくかというところですね。各国の文化に根ざしたコンテンツを展開する必要がありますので、その国の携帯電話事情や文化、流行がわからないとどうにもならないことですから、いきなりサービスを展開しても難しいかもしれませんね。

--今後ニワンゴサービスはどのように成長するのでしょう。

杉本氏:ユーザー数は、3年先で100万人規模と想定しています。何しろ類似サービスがこれまでなかったので、未知数な部分もあります。ただ、携帯電話のパケット料金の定額制も含め、このサービスを開始する時期として、追い風が吹いていることは確信しています。

 ニワンゴがどういうコンテンツを扱っていくかということよりも、どんなコンテンツにも繋がるような、パイプ役としての位置づけでサービスを展開していくつもりです。サービスを展開していく中でユーザーがどういうコンテンツを欲しているかということがわかっていけば、動画配信であれ、ネットゲームであれ、適切なコンテンツを求めて、多方面の企業と提携していくことになるでしょうね。まずは、携帯電話を持っている人がとりあえず何か気になったらメールを送ってもらえるようなサービスになるよう、認知度を高めることを目標としています。

ナショナルクライアントからの反応が良かったのは「誤算」と笑う西村氏(右)と杉本氏(左)

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