--MacにIntel(のチップ)が搭載されることについてはどうお考えですか。
今よりも安価で、高速で、強力なコンピュータを開発できるようになるわけですから、長い目でみれば、よいことだと思います。当社はIntelと密接に連携していますので、理論上は、特にグラフィックやビデオアプリケーション製品では、ネイティブレベルでの最適化が可能になります。厄介なのはIntelチップに移行するまでです。コーディングやコンパイルには、かなりの時間と労力を要するでしょう。
--AppleがIntelと組むことは、どの程度知っていたのですか。
Steve Jobs(AppleのCEO)とは適度に親密な関係を築いていますので、計画があることは聞いていました。彼は折に触れて、この話題を出していましたし、発表の直前には一報を入れてくれました。
--オープンソースはAdobeにどのような影響を与えていますか。
当社はこれまでにもたくさんの製品と競合してきました。たとえば、Illustratorに対してはKIllustratorがありますし、Photoshopに対してはGimpがあります。しかし、革新を続け、高い質を維持している限り、ユーザーは有料でも商用ソフトウェアを選ぶでしょう。当社の顧客は最高のものを求めています。唯一のリスクは、政府がオープンソース製品の使用を義務づけ、ユーザーから選択肢を奪うことです。重要なのは選択肢です。オープンソースが問題になるとすれば、それはオープンソースを強制されたときでしょう。
--韓国やミュンヘンの例を指しているのですか。
・・・それから中国も!
--ここでも中国ですか。
中国が調達先を中国企業に絞ったら、われわれは永遠に中国市場から締め出されることになります。
--中国に拠点を置くのも中国の歓心を買うためですか。
そうです。中国には研究開発拠点を設けるつもりです。PDFの標準化を促進するために、サンノゼからリードエンジニアも派遣しました。中国の研究開発センターでは、現地語へのローカライズを進めると共に、中国経済に利益を還元し、現地の政府や大学と連携していくつもりです。われわれの目的は中国から金を搾りとることではなく、中国経済の一部になることだと示す必要があります。研究開発拠点はドイツのハンブルグ、英国のノーリッジ、そしてインドにもあります。われわれは米国だけでなく、全世界でビジネスを展開しているのです。
--Adobeのビジネスにおいて、英国はどのような位置を占めていますか。英国から学ぶことはありますか。
多くの点で、英国と米国は似ています。たとえば、米国、英国、そしてオーストラリア政府(の税務機関)には共通のソリューションを提供しています。また、(英国の)金融サービス企業は非常に強力です。数は多くありませんが、規模はきわめて大きく、その多くが世界規模で事業を展開しています。
--金融市場以外ではいかがですか。
出版とメディアも重要な市場です。英国の特徴は、新聞、雑誌、そしてメディア企業の数が多いことです。一方、(米国は)どの国よりもフットワークが軽いので、実験には最適です。(米国は)新技術の採用にも積極的です。そのよい例がGlamour誌です。Glamour誌はAdobe InDesignを本格的に採用した初の出版物として、デザイン賞を受賞しました。私はこの快挙を版元である米Conde Nastはもちろん、HearstやTimeといったライバル企業に伝えることも忘れませんでした。
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