最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

インテルCEOが語る「ナンバー1の代償」

Mike Ricciuti(CNET News.com)

2004/12/02 10:00  

Craig Barrettが来年5月にIntelのCEOの座から退くとき、シリコンバレーの歴史のある部分もまた、幕を閉じることになるだろう。

 サンフランシスコ出身のBarrettは、Intelがマイクロプロセッサの製造方法を完成の域まで高めることに大きく貢献し、最近では同社による新分野進出の先頭に立ってきた。この間に同氏は、デジタルホーム向けの機器用チップの立ち上げや新しいワイヤレス技術の開発に立ち会ってもいる。

 しかし、近年のBarrettはむしろ、教育問題や米国の競争力について歯に衣着せぬ考えを述べる、IT業界きっての論客として知られている。Intelを去った後も、Barrettはこの2つのテーマに取り組んでいくことだろう。

 Barrettは1974年の入社以来、Intelと共に幾多の浮き沈みを経験してきた。日本企業と熾烈な価格競争を繰り広げたこともあれば、1990年代末のドットコムブームに乗り、記録的な高収益をたたき出したこともある。Intelは現社長Paul Otelliniのもとで、今後もPCプロセッサ業界を支配していくだろう。しかし、この市場もいま踊り場を迎えている。同社は利幅の減少に直面しているほか、長年のライバルAdvanced Micro Devicesや中国企業などの新たな挑戦者との激しい競争にさらされている。

 CNET News.comは先ごろBarrettにインタビューを行った。

--Intelの売上の約70%を生み出しているのは海外の新興市場です。新興諸国では製造原価が下がりつつありますが、売上が増えるほど、利幅が薄くなっていると感じますか。

 これらの市場では、ハードウェアは常に価格圧力にさらされているといえるでしょう。しかし興味深いことに、一部の新興市場は最新技術を取り入れるのも非常に早い。IntelがPentium IIIからPentium 4に移行したとき、一番先にPentium 4が市場の50%を超えたのはどの市場だと思いますか。最新プロセッサへの移行が最も早かったのはどの国だと思いますか。これは私のお気に入りの質問なのですが、答えは中国です--米国よりも中国の方が早かったのです。産業の成長率でいえば、中国は米国よりも急速に発展しています。一般に、中国は米国よりも価格圧力が大きいため、低価格帯に需要が集まり、逆に米国は高価格帯に需要が集まると考えられています。しかし、実際はそうではない。中国はブランド志向が強いので、上位製品が売れるのです。

--Intelはこれまで、コンピューティングと通信の融合を前提に意思決定を行ってきました。Intelは5年先にこの市場でどんな位置を占めていると思いますか。

 現在、当社がコンピューティング、特にマイクロプロセッサ市場で占めているような位置は期待できないでしょう。また、当社がこの分野で「intel inside(インテル入ってる)」に匹敵するブランドを確立することもないと思います。これは経済的な理由によるものです。量販型の携帯電話には40ドル程度の半導体が使われています。現実問題として、約40ドルの製品のために、intel insideと同等のブランディング・キャンペーンを展開しても(金銭的に)割に合いません。

--では、家電市場にはどう食い込むつもりですか。

 昔ながらのやり方です。他社よりもすぐれた技術を、よりよい部品を開発するのです。ご存じの通り、当社はまだ携帯電話市場に入り込むきっかけをつかめていません・・・しかし、この競争には昔ながらの方法--つまり技術、価格、そして顧客サービスで臨むほかない。厳しい世界です。競争を避けることはできません。

--Intelと同様に、Microsoftも家電分野に参入しようとしています。「Wintel」という言葉に象徴されるように、両社はPC市場でがっちりとタッグを組んできました。家電市場では、両社の関係は少し違ったものとなるのでしょうか。

 IntelとMicrosoftはPCに目を付け、この市場と共に成長してきました。それに対して、家電市場はすでに存在し、複数の大手企業も活躍しています。我々がこの市場でなすべきことは、既存のプレイヤーを駆逐することではなく、こうした企業の製品に採用されることです。我々は既存企業に取って代わろうとしているのではなく、こうした企業によりよいソリューションを提供しようとしているのです。

--エンジニアとして、またこの市場を開拓した張本人として、Intel製プロセッサを搭載した機器には愛着をお持ちだと思います。そのなかでも特に気に入っているものはありますか。

 そうですね、まずはBlackBerry、それからもちろんPC。3面スクリーンにも目がありません。娯楽作品は大画面で、双方向性が求められるものはPCで、携帯電話やショートメッセージにはBlackBerryを使っています。正直なところ、私はこうした機器が相互依存関係にあるという議論には賛成できません。むしろ、こうした機器は補完関係にあると思っています。

--つまり、ガジェットをむやみに買い込んだりはしないと。

 そうです。でも、我が家にはAV機器の部屋がありますよ。これは大きなメディアルームで、最先端の機器と分散サウンドシステムが完備されています。デジタルカメラも好きで、よく使っています。でも、そのくらいですね。

--自宅の地下に、チップを設計するための小部屋があったりはしないのですか。

 まさか。地下室では釣りの準備をするくらいです。

--デジタルホームについてお尋ねします。以前、エンターテインメントPCに言及されたことがありますが、この分野のライバルの顔ぶれは、PC市場とは違うものになるのでしょうか。

 エンターテイメント市場にはPC企業だけでなく、家電企業も参入し、何らかの新しい試みを展開することになるでしょう。それがゲートウェイの役目を果たすPCとなるのか、インテリジェントなセットトップボックスとなるのか、あるいは両者が共存するのかはまだ分かりません。Intelにとっての挑戦は、何らかの分野でデザインウィン(製品に採用されること)を獲得し、その分野の製品の基盤となることです。PC業界出身であることの1つの利点は、PCは最初からデジタルであったこと、あらゆる機器がデジタル化する過程で、そのノウハウを活用できることです。

--中国ではいつ頃から、マイクロプロセッサ市場の競争が激化するのでしょうか。

 我々は一貫して、中国は日本とまったく同じシナリオをたどると主張してきました。この予測は現実のものとなりつつあります。かつて、日本のコンピュータ、半導体、そして家電業界は垂直統合されていました。それに対して、中国では若干展開が異なります。彼らはまず半導体製造のインフラを整え、そこに数多くの小規模な設計会社をつくろうとしています。また、日本が多数の独自基準を設けていたように、中国も独自の基準を作ろうとしています。

--次の動きは。

 チップセット、プロセッサ、そしてメモリでしょう。中国のモデルは、まずファウンドリを構築し、その後、知的財産の創造とエンドユーザー向け製品の生産に移行するというものです。それは明らかです。しかし、この戦いは我々がこの35年間に経験してきたものと、何ら変わるところはありません。我々はこれまで、当社と直接競合するヨーロッパ、日本、そして米国の企業と戦ってきました。今度はそこに中国企業が加わるのです。

--しかし、市場規模を考えると、中国との競争は過去の例とは大きく異なるのでは。

 比率で考えればそんなことはありません。当社が日本企業としのぎを削った1980年代に、世界における日本の市場シェアは10%程度でした。現在の中国の市場シェアも、おそらくは10%程度です。市場の観点からすれば、両者に大きな違いはない。日本と中国にはたくさんの類似点があります。

--しかし、あなたに残された時間はわずかです。

退任後も、この戦いの行方を見守っていくつもりですよ。

特集

「ソーシャルメディアキャンペーン」の半数は失敗--アナリストが指摘する理由
多くの企業がソーシャルメディアキャンペーンを計画している。しかし、ガートナーによると、キャンペーンを始める理由が明確になっていなければ、失敗に終わることになるという。
人工知能による会話マーケティングの可能性
日産NOTEのウェブサイトがおもしろい。人工知能を用いて、ユーザーの質問にCMでおなじみのキャラが反応してくれる。裏側で実現しているのは、PtoPAが開発したソフトウェア「CAIWA」だ。同社はこれをウェブマーケティング分野でも活用しようとしている。

オピニオン

■インタビュー

Windows VistaにとってXPはライバルか?--マイクロソフト グローバルマーケティング担当Brad Brooks氏Windows VistaにとってXPはライバルか?--マイクロソフト グローバルマーケティング担当Brad Brooks氏
コンシューマー市場向けの取り組みを強化すると発表したマイクロソフト。日本におけるWindows VistaやWindows Media Centerの現状をどう見ているのか、コーポレートバイスプレジデントのブラッドブルックス氏に話を聞いた。
「iPodを日本で一番売りたい」--ビックカメラ有楽町店に聞く新iPodの魅力「iPodを日本で一番売りたい」--ビックカメラ有楽町店に聞く新iPodの魅力
発表後初の週末となった9月13日に、新iPodファミリーの店頭イベントを開催したビックカメラ有楽町店本館で、店長の石川勝芳氏に、iPodの販売状況と店内での取り組みについて伺った。

■コラム

進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能
近年のウェブサイトリニューアルプロジェクトでは「ユーザビリティテスト」を実施することが当たり前になってきたようです。今回は、単なる「使いやすさ調査」を超えた「ユーザー行動観察調査」の効果・効能を紹介します。
“オトコの遊びゴコロ”をくすぐるロマンたっぷり「自動車ケータイ」“オトコの遊びゴコロ”をくすぐるロマンたっぷり「自動車ケータイ」
香港や中国のケータイショップでは、「おぉっ!こりゃかなりいける!」とワクワクしてしまう怪しいトンデモケータイに出会うことがある。そんな魅力あふれる製品の1つが、今回ご紹介するケータイである。
ソフトバンク株価の下落加速--iPhone一巡し資金繰りを懸念ソフトバンク株価の下落加速--iPhone一巡し資金繰りを懸念
日経平均が約4年10カ月ぶりに1万円の大台を割り込む中、ソフトバンクの株価が、全般相場の低迷にも増して下落が加速している。

企画特集

ネットと家電をつなぐチャレンジ「Life-X」
第一題:ライフログ・シェアリングサービス「Life-X」の第一印象は?
エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」
【第2回】メーカー/占いのコンテンツを作ってみた!

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々I am Jamming!
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトグッバイ、レバレッジ!(1)
クロサカタツヤの情報通信インサイト
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」9月イベントお知らせ
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
ケータイ時代のスタンダードiPhonista Nightの事後報告
ケータイ時代のスタンダード
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance新サービスをローンチしました
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
鈴木健の天命反転生活日記パラレルワールドとしての電脳コイル
鈴木健の天命反転生活日記

読者ブロガー

将来のPC業界パワーバランス変形マウス、Arc Mouseレビュー
将来のPC業界パワーバランス
IT業界(笑)最底辺層生活オトナになるということ
IT業界(笑)最底辺層生活
夢幻∞大のドリーミングメディア福祉国家の失敗〜40年前の「断絶の時代」を読む(3)
夢幻∞大のドリーミングメディア
Life with Mac and more.さあ来い!Silverlight 2
Life with Mac and more.
コミュニケンシュワ
コミュニケン

リサーチ

■リサーチコラム

薬事法規制の厳しい健康食品に代わり、増え続ける化粧品メーカー
薬事法規制が厳しくなる今、特に規制が厳しい健康食品にかわって化粧品を販売しようとする企業が増えている。そこで、覚えておきたい化粧品と薬事法の関係について簡単にまとめた。
携帯電話の待ち受けに関する調査--最も利用される画面は「自分で撮影した写真」
携帯電話の待ち受け画面に関する調査を実施したところ、10・20代は飽きやすく待ち受け画面を頻繁に変更する傾向にあり、30・40代は季節感や臨場感を重視することが明らかとなった。
電子マネーによるライフスタイルの変化に関する調査--電子マネーコアユーザーは、高所得者層
電子マネーによるライフスタイルの変化に関する調査したところ、電子マネーを活用するのは高所得者層に多く見られた。また、1度に1万円以上チャージするユーザーは10%強であることも明らかになった。

■調査レポートダウンロード

金融不安の市場に、IR活動は何を頼るか!?
CMS未導入企業300社へのアンケート 担当者のホンネを徹底追求

■調査発表

【ゲームクリエイターの方へ】攻めの開発体制を敷くAQインタラクティブ社の中途採用・求人情報をレポート
Alibaba JAPAN、カー用品店に関する調査 カー用品専門店の認知、利用ともトップは「オートバックス」
調査結果「携帯OS『Android』認知度調査、6割が『知らない』 〜ユーザー期待のメーカーは?」

CNET Japan セレクション

ココが変わった、新型「ニンテンドーDSi」--「ニンテンドーDS Lite」と比較
任天堂が11月1日に発売する新型ゲーム機「ニンテンドーDSi」はどんな点が新しいのか。既存のニンテンドーDS Liteと比較するとともに、新機能を紹介する。
フォトレポート:本体が分離するNTTドコモの「セパレートケータイ」の謎に迫る
NTTドコモは家電展示会「CEATEC JAPAN 2008」において、端末が2つに分離できる携帯電話「セパレートケータイ」を展示している。どのような仕組みなのか、何ができるのかを、写真で紹介する。
話題のスマートフォン、写真で見るBlackBerry Bold
RIM製スマートフォン「BlackBerry」の新モデル「BlackBerry Bold」を2008年度第4四半期にも発売すると発表したNTTドコモ。話題のBlackBerry Boldを写真で紹介する。
こんなものもありました--CEATECで見つけたオモシロ新技術たち
幕張メッセで開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、幅広い分野の最新技術が一堂に会している。ここではその中でもユニークな新技術や展示を紹介する。
「iPhone 2.2」アップデートの概要が明らかに--App Storeのインターフェースなど変更
アップルは、新たな「iPhone 2.2」アップデートのリリースに向けて準備を進めている。Safariに加え、App Storeのインターフェース変更などが予定されている。
ケータイはまだまだ進化する--CEATECで見た未来の技術
幕張メッセで開催されているデジタル家電の展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、携帯電話関連の新技術が数多く展示されている。その様子を写真で紹介する。

今日の見どころ

自動車の未来を垣間見る--2008年パリモーターショーのコンセプトカー

2008年度グッドデザイン賞が発表--環境を意識した新基準も

GMのハイブリッドカー「Chevrolet Volt」、パリモーターショーに登場

レビュー

今週の新製品総チェック:新PS3が登場!ニコンが発表した映像製品「UP」とは?
「東京ゲームショウ2008」が10月9日から開催され、新PS3やXboxの新作ゲームなど、ゲーム機の大型発表が相次
[レビュー]2011年画質を備えた高画質、多機能Blu-ray--ソニー「BDZ-X95」
ソニーのBlu-ray Discレコーダー新製品が登場した。2007年から引き継がれる「やりたいことから選ぶ」シリー
今週の新製品総チェック:よりモバイルPCとして進化した「Let's note」が登場
松下電器産業の「Let's note」、デルのデスクトップPCとPC新製品が数多く登場した。Let's noteは9時間駆動
今週の新製品総チェック:フルサイズCMOS搭載のキヤノン「EOS 5D Mark II」が登場
キヤノンからもフルサイズCMOSセンサを搭載した「EOS 5D Mark II」が登場した。合わせてコンパクトデジカメ
今週の新製品総チェック:第4世代iPod nano登場、ソニー「α」、松下「LUMIX」に新機種も

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。