米国で音楽配信サービスに火を付けたのは、OS市場シェアでMicrosoftに大きく引き離されたApple Computerだった。ポータル市場で王者のヤフーに挑むエキサイトは、日本のAppleになれるのだろうか。
エキサイトは5月20日、音楽配信サービスExcite Music Storeを開始した。これは国内ポータルサイトとしては初めての試みだ。サービス当初の配信楽曲数は1100曲だが、6月に4万曲、年内に10万曲を目指す。
国内ではレコードレーベル18社が出資したレーベルゲートなど、いくつかの企業が音楽配信サービスを開始している。しかし、本格的な普及には至っていない。エキサイトはポータルとしての集客力を生かし、音楽情報に敏感な10代〜20代前半のユーザーをコアターゲットとして、音楽配信の普及を狙っている。
一方で、WinnyなどのPtoPファイル交換ソフトや、CDへの不正コピーが国内音楽市場を縮小させているという議論もあり、ネット上での音楽配信に慎重なレーベルも少なくない。新サービスの狙いと今後の展開、PtoPファイル交換ソフトの問題、そして昨年夏に話題となった株式上場について、エキサイト代表取締役社長の山村幸広氏に話を聞いた。
---まず、今回の音楽配信サービスを開始した理由について聞かせて下さい。
エキサイトは広告収入に依存しないビジネスモデルを目指しています。ウェブ上で課金できるコンテンツであること、そしてブロードバンドコンテンツとして顧客にメリットがあるものを探していました。現在、エキサイトユーザーの70%以上がブロードバンド環境にあるからです。この2つの条件を満たすものとして、音楽配信サービスへの参入を決めました。
---広告依存からの脱却を図る理由は。
ポータルサイトが広告収入だけで生き残っていくのは難しい状況になっています。もちろんインターネット広告市場は右肩上がりで成長していますし、エキサイトの広告収入も伸びています。しかしポータルはいろいろなコンテンツを提供しなくてはいけない。新しいところに投資していくためには、広告以外の売上を伸ばして全体のボリュームを拡大する必要があります。
2003年度の広告収入は売上全体の50%以下です。将来的には30%程度にしたいと考えています。
---音楽配信サービスは売上の何%を占める予定ですか。
エキサイトではオンラインゲームと音楽を課金コンテンツの柱としています。2003年度のウェブコンテンツの売上は4億円程度でしたが、今年度はゲームと音楽だけで10億円程度になるでしょう。2、3年後には音楽配信だけで全体の10%を目指したいですね。
---音楽配信サービスのiTune Music Storeを運営する米Appleの場合、iPodというハードウェアの販売が収益の軸となっています。エキサイトは音楽配信自体で利益を上げるつもりですか。
そのように考えています。売上はレーベルとのレベニューシェアとなりますが、エキサイトには(ISP事業の)BB.exciteを初めとしたインフラがあり、大きな先行投資は必要ありません。
配信サービス単体の投資額を切り出すのは難しいですが、1年くらいで損益分岐点に達するのではないでしょうか。
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