エキサイトは7月7日、2002年度の業績が1997年の創業以来初めて年間で黒字を達成したと発表した。2002年度の売上高は35億9500万円、営業利益が1億3900万円、経常利益が1億4000万円、当期純利益が1億3800万円となったという。なお、2003年度は売上高42億円、経常利益・純利益ともに3億円を見込んでいる。
ターゲットの絞り込みで広告単価が向上
エキサイトが黒字化した主な要因は、ユーザーターゲットの絞り込みによる広告単価の向上とコンテンツの売上収入の増加だ。
エキサイトでは2002年2月に伊藤忠商事の子会社となって以来、都市圏に暮らす、M1F1層と呼ばれる20〜34歳の男女をターゲットに絞り込んでサービスを展開している。エキサイト代表取締役社長の山村幸広氏によると、「エキサイトは他社のポータルサイトに比べてM1F1ユーザーの含有率が高い」という。ネットレイティングスの調査によると、2002年11月における他社のM1F1ユーザー数が全体の30〜35%であるのに比べ、エキサイトでは37.6%となっている。さらにユニークユーザーに占める女性の割合も他社が38〜41%であるのに対し、エキサイトでは44.3%と高くなっているという。
エキサイト代表取締役社長 山村幸広氏 | |
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さらに山村氏はエキサイトのユーザーの特徴として、「持ち家比率が高く、お金を自由に使える高収入世帯が多い。また、エキサイトのユーザーは他のポータルサイトに比べて買い物に対する嗜好が明確で、高いブランドに対する認知や購買意欲が高い」といった点を挙げる。
このようなユーザーの絞り込みにより、広告の売上が順調に伸びているという。2003年度第3四半期におけるページビュー当たりの広告売上高はヤフーが0.11円であったのに対し、エキサイトは0.31円と約3倍となっているという。また自社広告も非常に少なく、広告枠の販売率が90%を超えているといい、「媒体の価値が認められている」と山村氏は語った。
利用ユーザー数も順調に伸びているようだ。「エキサイト全体のユニークユーザー数は2003年第2週(12/30〜1/5)に比べ、第25週(6/16〜22)では25%増で伸びており、約750万人が週1回はエキサイトを利用している」(山村氏)という。さらに、その中でエキサイトがターゲットとするM1F1層の利用についても、「2003年3月から6月の3カ月間で14%増の伸びを見せており、1日70万人弱がサイトを訪れている」(山村氏)
広告に依存しない収益構造が成功の鍵
ただし山村氏は、「収入を広告に依存しないサイトだけが生き残っていける」と断言し、広告以外の収益源を確保する必要性を訴えた。実際、2002年度の全売上に占める広告の割合は約51%の19億円となっており、課金コンテンツも収益の大きな柱となっている。
2002年度の携帯コンテンツの売上は約12億円、ウェブコンテンツは約2億円となっている。現在ウェブの有料会員は10万人を突破しており、4月時点で月額3200万円ほどの売上がある。ブロードバンドコンテンツのアニメや音楽、出会い系サービスのエキサイトフレンズなどの人気が高いという。携帯コンテンツについても約39万人の有料会員がいるといい、「先日携帯コンテンツからの収益が月額1億円を超えた」(山村氏)という。
「ライコスとインフォシークが統合して恩恵を受けるのはエキサイト」
山村氏は楽天グループのポータルサイトのLycos Japanとインフォシークが9月にサービスを統合することについて、「Lycosがなくなって得するのはエキサイト」と明言した。山村氏によると、「Lycosのサービスはエキサイトの後追いという感じがしていた」としており、同じ層をターゲットとする競合が減ることでエキサイトは恩恵を受けるという考えを示した。さらにライコスとインフォシークのユーザー層のずれを指摘し、「1+1=2にはならない。1.3程度ではないか」と厳しい見方を示した。
また、エキサイトでは新たに5つのサービスの提供を開始することも明らかにした。まず新たな広告サービスとして、同社のウェブマガジンである「エキサイトイズム」のユーザーを対象にアンケートやターゲット広告、マーケティングリサーチを行う「エキサイトイズム・マーケティング・パッケージ」を7月7日から開始した。リムズエムアイと提携し、ユーザーが自由回答したアンケートを集計・分析する点が特徴という。
さらに韓国で1300万人以上の会員を集めたオンラインゲーム「Priston Tale」を8月より開始するほか、迷子になったペットの情報交換ができる「LOST & FOUND Community Official Site」を7月10日より開始する。また、携帯コンテンツとして、20〜30代の女性向けにカフェやクラブ、映画情報などを配信する「カフェメロ♪ナイトエキサイト」を7月7日より開始した。7月下旬からは都内のカフェと提携し、BB.exciteのブロードバンド接続が利用できる「excite CAFE@BOOM Project」を展開していくことも明らかにされた。
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