4月以降、合計25本のスマートフォン向けサービスを提供すると発表し、その取り組みの本気度を見せているサイバーエージェント。同社は間もなくAmebaのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)化とプラットフォームのオープン化に踏み切る。
スマートフォンを新たな主戦場に定めたサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏にその意図と戦略を聞いた。
そもそも黒字化自体は狙っていたわけではありません。「やっとこさ黒字化した」というようなネットのビジネスは、その先が厳しい。まずは損益を考えず、事業に集中しました。そういう意味では当初のもくろみどおりになっています。損益分岐点を超えて、売上も伸びている。今は全体の収益の半分くらいをたたき出す事業になりました。
私は何も言わないようにしていましたが、黒字化をきっかけに周辺のムードは一変しました。今まで「Amebaはだめだ。こんなことやらなければいい会社なのに」と言われ続けてきたのですが、黒字化以降は「Amebaがあるからのサイバーエージェントだ。投資的にも魅力だ」と。
私の経験則では多額の先行投資で黒字化だけを狙いにいくという事業は成功しません。それを突き抜けなければとは思っていました。
正直言って派手な何かはありません。ピグは成功したけれど、そのほかに「これ」と言うのはない。ブーム的な何かではなく、地味な改善運用を続けてきたことでしょうか。「ピグで一発当たった」というように見えるかも知れませんが、積み重ねです。一気にFacebookのように広がるものではありません。逆にそれを求めています。
現在発表した以外にも、非常にたくさんのサービスを作っています。
スマートフォン向けのサービスについては、カメラを使うものなど一部ネイティブアプリを含みますが、その多くはブラウザベースです。
我々のベースとなるブログはブラウザで閲覧します。そこからの回遊性を考えています。また、HTML5で作った時にそこまで(クオリティとして)ネイティブアプリに見劣りするものではありませんでした。
特にコミュニティ関係のサービスは、ブラウザを使ったほうが自由度が高いですし、ユーザーとの接点を作りやすい。現在企画中のサービスは50以上。グループを合計すると100を超えるのではないのでしょうか。写真共有サービス「My365」(サイバーエージェント内定者によって開発されていたが、2011年12月1日設立の新子会社シロクのボードメンバーに内定者が就任し、そのサービスを譲り受けた(実質的には開発者は同じ))のようにに、1つ1つが「ミニソーシャル」といえるようなものを提供します。
FacebookやTwitterなどの連携を重視しています。ただベースになるのはAmebaの「デカグラフ」になります。デカグラフとは、これまでのAmebaにコミュニティや自社のサービス、ゲーム開発会社のソーシャルゲームなど、各種のサービスが連携した言わば「大きなソーシャルグラフ」のことです。ピグの友人関係である「ピグとも」なども含みます。
我々は5月末にもスマートフォン向けサービスをリニューアルし、同時期にプラットフォームのオープン化も実施します。これまでのAmebaはもともとブログの機能があり、そこにメッセージやペタ(足あと機能)などのコミュニケーションを提供したものでした。リニューアルではゲーム、コミュニティをはじめ、SNSとして必要な機能を備えていきます。
中身はがらっと変わるとはいえ、見た目的にはユーザーにとって大きな変更はありません。かなりシームレスに作っており、既存ユーザーは気付かないかも知れません。月間アクティブユーザー250万人をいかに自然にSNSに移行させるかにこだわりました。
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