パナソニック、サムスン、ソニー、東芝の4社が開発した次世代コンテンツ保護技術「SeeQVault」(シーキューボルト)が本格始動した。再生互換性とセキュリティを併せ持つ、SeeQVaultとはどんな可能性を秘めているのだろうか。CEATEC JAPAN 2013の会場に設けられたSeeQVaultブースを取材した。
SeeQVaultは、2月にライセンス提供を開始した新コンテンツ保護技術。パナソニック、サムスン、ソニー、東芝4社による協業事業であり、共同で設立したNSM Initiatives LLCを通じて、ライセンスを提供している。9月には東芝、ソニーから相次いで、SeeQVaultに対応したmicroSDHCカードやカードリーダ付きのワイヤレスサーバが発表された。
従来、HD画質の放送コンテンツやネットワークからダウンロードしたコンテンツには、コンテンツ保護がかけられ、再生する機器が限定されている。例えば、メモリカードに保存して再生する場合、録画した以外の機器ではSD画質にダウンコンバートされたり、USB HDDに録画したコンテンツは録画した以外のテレビに接続したりすると再生ができない。
こうした不自由さを解消するために、開発されたのがSeeQVaultだ。対応機器同士であれば、タブレットやスマートフォンを限定せずHD画質でのコンテンツが視聴でき、接続するテレビも問わない。
microSDHCカードとワイヤレスサーバのみがラインアップされている現状では、ワイヤレスサーバのカードスロットにSeeQVault対応のmicroSDHCカードを挿入し、Wi-Fi経由でNASなどから番組コンテンツを持ち出し。スマートフォンなどからWi-Fi経由でワイヤレスサーバにアクセスすれば、HD画質のコンテンツが視聴できる。スマートフォンには専用アプリをインストールしておく必要がある。
将来的にはUSBメモリやUSB HDDなどの対応機器も登場してくると見られる。USB HDDが登場してくれば、テレビで録画したコンテンツがテレビの買い替えとともに見られなくなるといった不便さが解消されるほか、リビングのテレビで録画したコンテンツを寝室のテレビで視聴するといった使い方も可能になる。
HDコンテンツの録画や持ち出しの制限は、機器の買い替え時などに初めて気づくユーザーも多く、せっかく録画したコンテンツが突然見られなくなってしまうことも少なくなかった。SeeQVaultが普及すれば、安心して便利にHDコンテンツを視聴する環境が整えられるだろう。
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