アジア圏各国が日本のコンテンツ産業の出方を見るのと同時に、ブランド企業をはじめとして有力コンシューマ製品企業も日本市場へ熱いまなざしを注いでいる。日本の消費者の目利きや再発見力を重視し、自社製品のマーケティング・テストベッドとして日本市場を捉えているのだ。
機能性を前面に押し出した消費財の時代は過ぎ、付加価値性の高い製品が主役に躍り出ている現在。付加価値性をもコンテンツ──いやソフトパワーとして捉えるべきであろう。すなわち、「良いものは売れる」といった過去の製造業パラダイムとは発想を異にしたアプローチ、メディア利用に消費スタイルをもパッケージにしたコンテンツ産業の世界展開が必要なのだ。
クールジャパンとしての海外展開の必要性が叫ばれながらも、表面的な人気取りとしての政策の打ち出しが連発され、それらが向かうところはデジタル/ネットの出現で朽ちつつある国内産業基盤へのパッチ打ちという状況を脱し、より大きな視点から政策を再構築することが急務となってはいないか。正確なインテリジェンスに裏打ちされた戦略を打ち出す「大義」の欠如こそが、混迷の原因ではないか。
今こそ大義を描き、日本だけではなく、アジア圏をも巻き込んだ、これまでにはない世界観づくりを行うタイミングにあると思うのは、僕だけだろうか。
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