「del.icio.us」をはじめとするブックマークに「Digg」のようなニュース、そして動画共有の「YouTube」など...。草の根のCGM的な要素を盛り込むことは、いまや「Web 2.0」系サービスの必須となった感があるが、今回紹介する「Crowdstorm」は、オンラインでの買い物情報にこの「群衆の力」を持ち込んだ例といえる。
Crowdstormは、現在プライベートベータの段階--招待したユーザーだけでベータテストを実施--であり、まだ実際に使ってみてはいない(ユーザー登録を済ませたので、招待状が届き次第テストしてみたい)。
Solution Watchの記事によると、Crowdstormのユーザーは、diggのような形式で特定の商品に対する評価を示せるほか、コメントや、簡単にブログに書き込める仕組み、友人への商品のお勧め、さらにwiki形式のプロダクトレビューなどの諸機能が利用できるという。
Crowdstormの共同創業者であるPhilip Wilkinsonは、後にYahooが買収したKelkooという欧州の比較ショッピングサイトの立ち上げに関わった人物。「何かを買おうとするときに決め手となるのは、価格(の安さ)だけではない」という価格比較サイトに対する洞察から、「友人や他の信頼できるユーザーが薦めているものなら、自分も買ってみようと思う」と考え、それを元にこのサービスを実現させたと、e-consultancy.comとのインタビューのなかで説明している。
さらに、「Yahoo!やMSN(Windows Live Shopping)などでも、同様にCGM的な要素を取り入れつつあるが・・・」という質問に対しては、「彼らはサイトに多くのユーザーを呼び寄せ、素早く選択肢を絞り込ませ、オンラインショップに送り込んで、売上からのコミッションを得ようとしている。それに対して、われわれは企業とユーザーとを結びつけたいと考えている。それによって、企業はメッセージを届かせることができ、一方顧客も自分の意見を表明し、直接企業側に(当該)商品に対するフィードバックを行えるようになるからだ」と競合サービスとの違いを強調している。
Crowdstormでは複数の収益源を想定しているが、そのなかには他の価格比較サイトやオークションサイト、オンラインショップ等への紹介料(コミッション)や広告掲載料、そしてCrowdstorm内のコミュニティに新製品情報などを伝えたいと考えるブランドへのサービスなどが含まれる。
最近、日本のネット業界で長く活躍する知人と話していて、「商品評価サイトに『群衆の知』的な要素を盛り込もうとする場合、きちんとした仕組みを用意して『集団浅慮』になるリスクを回避する必要がある」という指摘が出た。ショッピング関連情報サイトで実績を持つ人物が立ち上げたCrowdstormでは、こうした点を具体的にどうクリアしていくのだろうか。
[via Solution Watch]
PS:del.icio.usがマイナーバージョンアップしている。新たに盛り込まれたのは、メインページにある(ブックマークされたウェブページの)スクリーンショット、「注目のタグ」(「tags to watch」のリンクからたどれる)、それにYahooのシステムを利用した検索連動広告など。とくに、del.icio.usで広告が掲載されるのは今回が初めてとのことで、買収の成果がやっと結実、といったところか。
[via Solution Watch]
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