現在のウェブには、人間のためには何テラバイトもの情報があるが、コンピュータはこれを利用できない。HTMLのページの内側には、難しい形でフォーマットされていて機械には処理するのが難しい形で情報が詰まっている。いわゆるWeb 3.0は、本物のセマンティックウェブの前ぶれとなる可能性が高い。ここでは「Web 3.0」という言葉を、主要なウェブサイトがWebサービスへと変わっていき、世界に対して情報を効果的に示すようになるという意味で使っている。
この変化は、次の2つのうちのどちらかの形で起こるだろう。一部のウェブサイトは、Amazonやdel.icio.us、Flickrなどの例に従い、REST API経由で情報を提供していくようになるだろう。他のサイトは、情報は独自の形式を維持するが、DapperやTeqlo、Yahoo! Pipesのようなサービスを使って作られたマッシュアップを通じて外へ出していくようになるだろう。そして、全体としては、構造化されていない情報は、構造化された情報へと道を譲り、そうしてより知的なコンピューティングへの道が開かれていくだろう。この記事では、この重要な変化が今どのような形で起こっているか、今後どう進化していくのかを考えていこう。
Amazonの先見性のあるWeb OS戦略については、すでにRead/WriteWebでも取り上げている。シアトルにあるAmazonは、一連の洗練されたAPIを通じて自らのインフラストラクチャをさらすことで、自分自身を再発明している。Amazonが最初に提供したウェブサービスのひとつがE-Commerceサービスだった。このサービスは、Amazonの製品カタログの項目の大部分を第3者からのアクセスの対象とした。APIは非常に良くできており、ユーザーの操作やウィッシュリスト、ショッピングカートなどを可能にしている。ただし、本質的な能力はAmazonの商品を調べることだ。
Amazonはなぜこのサービスを完全に無料で提供したのか。これは、このサービスの上に作られたアプリケーションのほとんどはAmazonへのトラフィックを呼び込むからだ(リクエストに応じてこのサービスが返す各項目の情報には、AmazonのURLが含まれている)。つまり、E-Commerceサービスによって、Amazonは他人がAmazonの在庫情報へアクセスする方法を提供したのだ。その結果、多くの企業がAmazonの情報を活用する独創的な方法を多く開発した。それらの成功事例については、Read/WriteWebの以前の記事を参照してほしい。
Web 2.0の代名詞であるdel.icio.usもまた、自社のウェブサイトの機能の一部をAPI経由で公開した草分けのひとつとして有名だ。多くのサービスがこれにならい、本物のAPI文化の台頭を促した。programmablewebのJohn Musserは、飽きることなくAPIとそのマッシュアップのカタログを作り続けている。このページには400近くに及ぶAPIがカテゴリごとに整理されている。400というのは強烈な数だ。しかし、情報を公開しているのはこれらのAPIの一部に過ぎない。多くのAPIはサービスそのものを操作することに焦点を当てている。これは、この記事の文脈を理解するうえで重要な違いだ。
del.icio.us APIが現在提供しているのは、del.icio.usのデータベースを世界に公開するものではないという点で、Amazonのものとは異なる。このAPIが具現化しているのは、del.icio.usに蓄積されているユーザー情報を操作するマッシュアップを、公認された形で提供可能にする機能だ。例えば、プログラムから記事をポストしたり、タグを更新したりするアプリケーションを作ることができる。しかし、どのURLが投稿されているか、あるいはdel.icio.usのデータベース全体でどういうものに「web 2.0」というタグが付けられているかといったことは、このAPIからは問い合わせることはできない。これらの情報は、ウェブ上では簡単に見ることができるが、現在のAPIからは得られない。
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