Steve Jobs氏はここ数カ月、今後の新製品や企業戦略に関する質問に、いつになくダイレクトな形で答え、Appleの経営方針で余裕のあるところをうかがわせている。
Appleは長年にわたり、自社の秘密を厳格に守ってきた会社だが、最近の「Mac」および「iPod」の発表に先立つ準備期間においては、リリース直前の製品の画像や詳細情報を取り上げているウェブサイトに対処するために、法律専門家チームを動員するといった従来の戦術を取らなかった。
Jobs氏は同じように余裕のある態度で、先ごろ行われたアナリストたちとの業績発表会見において、Appleから新たに発売される可能性のある製品に関する質問に答えていたが、その余裕は、当該四半期において「iPhone」の売れ行きが好調であったというニュースから来ているのかもしれない。
中でも興味深かったのは、低価格Macと、現在の景気後退期において同社の主要市場にどのように対応するかについてのJobs氏のコメントだ。
これまでに、Appleが低価格ラップトップの発売と、新たに生まれつつあるネットブック市場への参入によって、市場シェアを拡大するのではないという点については多くの噂が飛びかっていた。
「MacBook」の新製品が価格予想を裏切ったことで、低価格ラップトップに関する噂は消えた(Appleが発表した最低価格製品はエントリレベルのMacBookで999ドルだったが、大方の予想では800ドル程度になるだろうと見込まれていた)。また、ネットブック市場に直ちに参入することに関してもJobs氏は否定した。
ネットブックの話題に関しては、最近行われた業績発表会見でJobs氏は次のように述べている。「われわれは、この新たに生まれつつあるカテゴリがどのように発展するか、しばらく様子を見ることにした。発展するようであれば、導入すべき面白いアイデアはいくつかある」
またiPhoneは、インターネットや電子メール、その他基本的アプリケーションへアクセスできることから、このカテゴリに適しているとも述べている。
同じその会見でJobs氏は、Appleは高品質の製品を特定の顧客ベースに販売するという戦略を今後も継続し、市場シェア拡大のために、同社ブランド購入をする人たちへの投資をヘッジすると述べた。
さらにJobs氏はこう言っている。「われわれは特定の市場分野に特化し、総花的にはならないようにすることで大きな成功を収めてきた。この成功戦略を今後も堅持していくつもりだ」
低価格コンピュータ分野は明らかにAppleのプランには含まれていない。
Jobs氏は、「おもちゃではない500ドルのコンピュータの作り方が分からない。AppleのDNAは、そうした製品を作ることを認めないだろう。しかし、われわれが対象とする顧客に、さらに大きな価値を提供し続けていくことはできる。そして、そういう顧客は数多くいる」と述べている。
500ドルの「おもちゃのような」Macに関しては、「Mac mini」を担当するプロダクトマネージャーの心境は穏やかではないはずだ。ディスプレイが付属しない599ドルの「ヘッドレスMac」はAppleの基本理念と多少とも異なる製品であることは明らかである。
このベーシックMacは理想的な低価格のスイッチングマシンとして発売されたが、他のPCメーカーの製品と比較した場合、価格に対する価値の点で疑問の余地がある。
Mac miniは登場以来ほとんどアップデートされておらず、2009年1月のイベント「MacWorld」でアップデートされる見通しだが、そこでのアップデートが見送られたら、この小さなコンピュータにとってそれは悪い前兆となるだろう。
Jobs氏は、経済情勢の良し悪しにかかわりなく、それはAppleの遺伝子構造に合致しないと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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