オンラインゲーム市場の将来に必要なもの
このように一見すると順調そうなオンラインゲーム市場だが、実のところはそうとは言いきれない。例えばMMORPGは、開発費用以外に長期的に運営するための手間とコストがかかる。オンラインエンターテインメントは、「製品」ではなく「サービス」だ、とチェ氏は言う。創って終わり、ではなく、創って提供したところから、本当のビジネスがスタートする。
課金システムやカスタマーサポートなどの周辺部分には、ゲーム開発費の10倍以上の投資をすべきだ、とも。これらのサポートシステムは非常に重要で、韓国、日本など、それぞれの国の環境に適合したシステムを作り、手間を惜しまないことが必要なのだ。
一方、現在オンラインゲーム市場拡大に大きく寄与しているカジュアルゲームにも、死角はある。カジュアルゲームは無料だという意識の人が多い。ネクソンでは、料金のとれる質の高いカジュアルゲームを創ること、そして付加価値サービスを提供する、いわばアイテム販売で収益を上げていくことを考えている。ゲーム利用は無料で、アイテム販売で課金するというビジネスモデルは韓国、中国などで既に確立しており、ネクソンでは日本でも今年からサービスを開始する予定だ。
また、今後、日本でオンラインゲームがますます浸透していくために必要なものは何かと言う問いに対し、エキサイトの坂本氏は、「女性の参加」と答えた。オンラインゲームの特徴はコミュニティ性。しかし現状、エキサイトのゲームに参加しているのは、ほとんどが男性だという。坂本氏は「コミュニティ系サービスの成功例のほとんどは、参加者の半数が女性というケース。オンラインゲームもそういう状況を作り出さなければならない」と語った。
例えば韓国では、男女、年齢差なく、多くのユーザーがオンラインゲームに参加している。女性は特にカジュアルゲームやボードゲームにはまっている人が多いという。「女性にとってオンラインゲームはまだ敷居が高いかもしれないが、やり始めてしまえば、日本人女性もはまる人が多くなると思う」と坂本さんは言う。
日本におけるオンラインゲームの未来
日本ではコンソールの浸透が、オンラインゲームの普及を阻んできたという歴史的な背景がある。しかしブロードバンドの普及により、オンラインゲーム市場がさらに拡大する素地は着々と作られてきている。また、デジタルコンテンツの融合が進みつつある今、さらにクロスプラットフォームが生まれ、そこに投入されるコンテンツが登場するようになることで、オンラインゲーム市場は新たな展開へと進むことになるだろう。
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