米国で好評なトランシーバ型(半二重通信)通話サービス「プッシュ・トゥ・トーク」が、au、NTTドコモでも導入される。これは、ついに携帯電話でも、かけ放題、おしゃべりし放題のサービスが近く可能になるであろうことを示している。それは移動体通信サービスの成熟の結果であり、一種必然であろう。
「フラットワールド」というのは、コンテンポラリーアートのジャンルでも、新進のミュージシャンでもない。英語では料金定額制のことをフラットレートといい、それをもとにISPが使い放題を発表した頃に「インターネットもフラットワールド化!」というコピーが出たことがあった。
日本でも、ブロードバンドが普及し始めた際に多くの人が「通信で従量制ではないサービスがあるなんて!」と新鮮な驚きを伴って迎えたのは、まだ記憶として新しい。ただし、欧米では市内通話の定額制は珍しいものではなかったため、ダイアルアップであってもインターネット接続の従量制はその普及を妨げているという主張が多かった。
そんな中、日本で携帯電話に定額料金制が導入され始めた。 auは「Hello Messenger」のサービス名(関連記事)で、NTTドコモも「プッシュトーク」というその名もずばりのプッシュ・トゥ・トーク・サービスを開始すると発表したのだ(関連記事)。また、ボーダフォンは、家族間や恋人同士といった特定の番号に限定した料金サービスを11月1日から導入する。
注目に値するのは、同時に1人しかしゃべれないトランシーバ型サービスであっても、あるいは特定の番号間だけであっても、これまで頑として「通話で定額制は導入しない」としてきた携帯電話の通話サービスにおいて各社が定額プランを導入したことだ。
考えてみれば、PHSではすでにウィルコムが定額通話サービスを導入しており、あまり知られてはいないが、ボーダフォンも法人向けに定額通話サービス「モバイル・オフィス」を導入している(正確には「日本全国通話料無料で社員同士への通話が実現」とある)ため、画期的というほどのものではないかもしれない。
とはいえ、全世帯の半分近くが導入済みのブロードバンドインターネット接続がすでに定額制を取っているのに対して、全人口の8割以上(乳幼児や80歳以上の高齢者を除く)が利用している通信サービスとしては、携帯電話での定額制導入はかなり遅れているという印象が強かった。
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