ソニーの株価が12月に入って底入れ上昇転換の動きを鮮明にしてきている。果たして、これまで底値圏での往来相場を強いられてきた日本を代表する国際優良銘柄に本当に逆襲の時が訪れるのだろうか。
ここにきて、ソニーの株価にとってプラス材料となるニュースが相次いだことは確かだ。12日に発売した新携帯ゲーム機「PSP」(プレイステーション・ポータブル)が大ヒットの様相を呈し、株価上昇の買い手掛かり材料となっている。また、14日には会社側が、韓国のサムスン電子と両社が保有する汎用特許に関連してクロスライセンス契約を結んだと発表。クロスライセンスの対象となるのは、半導体のDRAM、フラッシュメモリ、微細加工技術、音声圧縮技術のMPEG、DVD規格のBlu-ray Diskなどだ。
これらの相次ぐ発表を受けて三菱証券では、15日付のレポートでソニーを取り上げ、「ソニーにとって、半導体事業の投下資本を傾注しているため、半導体関連特許を取り込む意義は大きい。メモリースティックに使用されるフラッシュメモリや、デジタル家電に不可欠なDRAMの生産が今後可能になるメリットはあると推測される」として、株価判断で最上級の「A」を継続するとしている。また、10日には目標株価についても、従来の4600円から5300円へと引き上げている。
12日に発売したばかりの新携帯ゲーム機PSPについては、初期出荷台数の20万台がほぼ即日完売という大ヒットぶりが、ソニーにとっては久しぶりの明るいニュースとして市場関係者に受け止められている。
しかし、実際にはPSPの今3月期の業績への寄与度は小さく、1月下旬にも発表される今3月期第3四半期の業績を確認するまで「強気になれない」(外国証券アナリスト)との見方もある。ただソニーは、デジタル家電のシェア拡大に向けて攻勢をかけており、欧米のクリスマス商戦、国内の歳末商戦ともシェアが向上しているもようだ。
また、ソニーと同様に株価が低迷していたシャープについても、ソニーのPSP向けをはじめとする携帯用ゲーム向けディスプレイが急拡大しているとの見方から、株価が戻り歩調となるなど思わぬ波及効果も表面化している。
ソニーの株価の日足チャートを見ると、日足が25日、75日の両移動平均線を上回るなど、新たな上昇トレンド入りを示唆しており、当面は下値切り上げ型の展開が続くと予想される。また、株価が来年3月償還のCB(転換社債型新株引受権付社債)の転換価額3995円に接近、この転換促進の思惑もあり、この点からも当面は強調展開が予想されそうだ。
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