株式市場が密かに期待する「デジタルラジオ」の将来性

 2006年の春から正式に放送がスタートする「デジタルラジオ」について、株式市場関係者の間から“これまで想定されてきた以上の大規模な市場に成長する可能性があるのではないか”として、その経済的な波及効果と関連銘柄を探る動きが出始めている。

 デジタルラジオは、CD(コンパクトディスク)並みの高音質と、簡易動画データ放送機能を持つことが大きな特徴だ。受信機を携帯電話やPC、携帯オーディオに組み込めば音楽データの配信など多様な事業が可能となることが期待されている。

 デジタルラジオ放送はすでに2003年10月から実験放送が始まっており、2006年4月に東京、大阪で本放送を開始し、2008年には全国主要都市、2010年には全国に放送エリアを拡大する予定だ。現行のAM・FMラジオとはまったくの別媒体で、音楽CDと同等の高音質である5.1チャンネルサラウンド放送が特徴。

 デジタルラジオは、FM東京やニッポン放送、文化放送、TBSラジオ&コミュニケーションズ、J-WAVEなどのラジオ局などが出資して2005年10月をめどに共同運営会社を設立する運びとなっている。

 デジタルラジオの将来性について準大手証券のアナリストは「デジタルラジオは、元々カーラジオのように移動を前提とした放送となっており、音楽中心の短時間でも楽しめる内容が多く、携帯電話や携帯型デジタル音楽端末など各種モバイルとの親和性も高いのをはじめ、オリジナル番組も多く用意される見通しで、実際の利用者数は意外に拡大することが期待できそうだ」としている。

 デジタルラジオ関連でビジネスチャンスの拡大が見込める銘柄探しの動きも浮上している。その一番手として注目されているのが、「着メロ」などネットワークエンタテインメントコンテンツ、およびシステムの企画や開発、運用、サポートで知られるドワンゴだ。同社は今年2月から携帯電話向けにデジタルラジオ放送サービス「パケットラジオ(パケラジ)」のサービスをスタートしている。当初は「いろメロミックス」の会員向けに提供していたが、現在は誰でも無料で視聴できるようになっている。6月からはコンテンツプロバイダ向けに、パケラジ用コンテンツが簡単に作れるオーサリングツールを無料で配布している。

 パケラジは、パケット通信を使ってストリーミング放送を行うサービスだ。音声のほか、静止画やテキスト情報を複数のユーザーに同時に配信する。数万人が同時に視聴しても耐えられる設計だという。サービスを利用するにはドワンゴのサイトから視聴用のアプリをダウンロードする必要がある。

 穴株として注目を集めそうなのが画像処理機器メーカーのピクセラだ。現在はPC用の地上デジタル放送キャプチャーボードが主力製品の同社だが、コストの増加を覚悟したうえで開発要員を倍増し、業界で唯一デジタルラジオ受信機の開発を進めている。すでに複数の車載用オーディオメーカーや携帯電話メーカーと交渉中で、2006年年初にも最初の製品の市場投入にこぎ着ける見通しとなっている。

 このほか、FM東京の携帯電話向けサイトなどの構築や運営を展開しているジグノシステムジャパンなどにもビジネスチャンスが広がる可能性が期待されている。なお、FM東京自体の2006年中の株式上場も現実を帯びて取り沙汰されているのも見逃せない。

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