5月の大型連休明け以降、5カ月間にわたって多くのハイテク関連銘柄が下落基調を続けるなかで、6月半ばから一貫して逆行高トレンドを続けているのがセイコーエプソンだ。頑強な株価推移の背景を探った。
同社の株価もほかのハイテク銘柄と同様に4月下旬の高値から大幅反落基調となり、4月26日の高値4730円から6月15日の3510円まで26%の下落となった。その後も大半の主力ハイテク株は反発の兆しをみせることなく調整を続ける軟調な地合のなかで、セイコーエプソンは反転軌道に乗り一貫して上昇トレンドを堅持している。そして、10月4日には4820円の高値をつけ、4月26日の高値を更新して1月5日の年初来高値5100円に肉薄する展開となっている。
セイコーエプソンは7月に、電子デバイス事業などの好調を背景に、今3月期の連結業績を大幅上方修正した。この上方修正は、売上高が想定を上回って推移しているほか、特に電子デバイス事業において欧州市場などで携帯電話の買い替え需要や、液晶プロジェクタなどの需要が好調に推移、コストダウン効果も功を奏したためだ。この結果、9月中間の連結業績は売上高6910億円(従来予想比1.9%増、前年同期比5.0%増)、経常利益460億円(同2.2倍、同43.3%増)、純利益260億円(同2.4倍、同57%増)と、従来の減益予想から一転して大幅増益が確保できる見通しとなった。この大幅な業績の上方修正がその後の堅調な株価推移を支えるかたちとなっている。
9月上旬に発表されたUFJつばさ証券のリポートでは、「第1四半期(4〜6月)業績発表前に、会社側は2度にわたって大幅な上方修正を実施。しかし反応はいまひとつで、結果的に株価バリュエーションが一段と低下した状態になっている。インクジェットプリンタの価格競争など懸念材料もあるが、ビジネスシステムの安定収益やコスト削減効果から、来期も業績が大きく崩れるリスクは小さい。現時点での会社予想の信頼性に不安はあるが、中間期および四半期決算などを経て今期業績の達成確度が高まれば、株価修正余地が出てくる」と指摘していた。
さらに、目標株価については、「PER15倍を基準とした5200円」と試算している。UFJつばさ証券が目標株価に設定した5200円は、今年1月5日に付けた上場来高値5100円を上回る水準となる。
準大手証券の投資情報部では「シャープ、ソニーなどいわゆるデジタル家電関連を中心に大きく値を下げつづけるハイテク株が多いなかで、セイコーエプソンの株価の上昇は特筆すべきもの、間もなく発表される9月中間決算と下期を含めた今3月期の業績見通し次第では、年初来高値の更新にも現実味が出てきそうだ」としている。
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