日経平均株価が終値で1万円を突破したのに続いて、TOPIX(東証株価指数)が1000ポイントを上回るなど株式市場が再び活況を呈しはじめている。今回の上昇相場のなかでリード役を果たしているのが主力ハイテク株だ。なかでもここにきて上昇に加速がついてきたのが半導体製造装置関連銘柄。果たして、この株価の上昇は業績の回復を先取りしたものなのか。
半導体製造装置メーカーの株価が上昇をみせてきた背景にあるのが、半導体メーカー各社の増産に向けての設備投資の積極化だ。日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた需要予想によると、今年度の日本製半導体製造装置販売額は、輸出を含め前年度比8.6%増加する見込み。国内への販売依存度が高かった国産メーカーにとって、これまで落ち込んでいた受注、販売を回復させるチャンスとなりそうだ。
ここにきて世界的な規模で半導体の需要が回復をみせてきた背景には「新・三種の神器」といわれるデジタル家電製品の普及が新たなステージに入ってきたことが挙げられる。この新・三種の神器とは、デジタルカメラ(カメラ付き携帯電話を含む)、DVDプレーヤー(レコーダーを含む)、薄型テレビ(液晶・プラズマディスプレイなど)の三種だ。
半導体テスターを手掛けるアドバンテストの第1四半期(4〜6月)ではテスターが好調に推移し、9月中間期のテスター受注の見通しを50億円上方修正した。さらに、製造装置大手の東京エレクトロンの第1四半期(4〜6月)は、国内メモリメーカーからの大型受注の影響もあって、半導体製造装置の新規受注額(単独ベース)は期初に予想していたレンジ(700億〜800億円)の上限にあたる783億円(ネットベース)となった。第2四半期(7〜9月)についても、国内向け中心に増加傾向が続く見込みで、受注額は1000億円(同)に達する見通しだ。
さらに、ここにきて半導体業界にとってもうひとつ明るい材料が浮上してきた。これまで足かせとされてきた半導体最大の最終需要を支えるパソコン出荷が増加に転じてきたことだ。世界のパソコン出荷台数は4〜6月期に前年同期比で約8%増と、四半期ベースで2000年10〜12月期以来となる高成長を記録した。パソコン、サーバ向けのMPU(超小型演算処理装置)の売上高も同8%伸び、パソコン需要に盛り返しのきざしが出ている。
このほか、ニコン、キヤノン、大日本スクリーン製造などの製造装置メーカーに加え、計測機器の東京精密、洗浄装置の引き合いが前倒しで出てきた日本ピラー工業、IC(集積回路)生産向けの空圧機器の受注が好調なSMCなどの企業についても、業績の上方修正の可能性が濃厚となっている。
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