日経平均株価は依然として8000円を下回る水準で低迷を続け、主力IT関連企業の株価も年初来の安値を更新する傾向から脱しきれていない。こうした全般低迷相場が継続するなかで、IT関連銘柄の一角に注目すべき現象が起きている。
大手SI(システムインテグレータ)の株価に本格出直りのきざしがではじめているのだ。システムインテグレータは、企業の経営戦略立案の段階から参画し、情報システムの企画・設計、開発・保守に至るまで一貫してサービスを請け負っている。ハード、ソフトの両面でさまざまなノウハウが必要とされるため、ある程度の事業規模が必要とされるが、それだけに受注競争も非常に厳しいことで知られる。
ここにきて、このSIの株価が出直りのきざしをみせているのだ。たとえばNECソフトは、先週月曜日4月14日につけた年初来安値1409円を底に反騰に転じ、同週末18日には一時2025円(上昇率43%)まで買い進まれた。同様に、14日に年初来安値1751円をつけた日立ソフトウェアエンジニアリングの株価も同週末18日には一時1930円(上昇率10%)をつけた。また、富士ソフトエービーシも4月4日の年初来安値1105円から18日の高値1450円まで31%の上昇となった。
こうした大手SIの一角が、数多いIT関連銘柄に先駆けて株価反転上昇のきざしをみせはじめている現象について外国証券のアナリストは「とにかくSI各社の株価は業績動向から考えて、必要以上に大きく売り込まれていたという現実が大前提としてある。例えば、昨年6月6日に1万5050円をつけていたNECソフトの株価は、直近1409円まで下落した。昨年の9月中間期末に1対2株の株式分割を実施したことを勘案しても株価は実質2818円で、10カ月間で5分の1以下にまで下がったことになる。この株価の絶対水準の安さが反転の第一の要因だ。さらに、SI大手のなかでもNECソフト、日立ソフト、富士ソフトといった企業は、官公庁や製造業、流通業などからの受注比率が高く、金融機関や通信事業向けを主力とする同業他社に比較して業績が好調で、増収増益を維持している会社が多いことも特徴だ」と指摘している。
さらに、ソニー、松下電器、富士通といった主力IT関連銘柄とは異なり、株式市場への上場が1990年代以降で新しい企業が多いため、厚生年金基金の代行返上に伴う売り懸念が少ないことも株価反発のピッチを速めているようだ。
昔から株式市場関係者の間では「長く続いた下落相場が終止符を打って、新たな上昇相場がスタートする局面で真っ先に飛び出すのは電子部品株」とされてきたが、今後は「真っ先に飛び出すのは大手SI株」ということになりそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス