「ウィキペディア」は韓国では「ウィキ百科」」と称され、サービスが行われている。日本と同じように多数の人が参加して作りあげており、4月7日時点で3万5509件の項目があるという(Wiki百科より)。ただし日本と比べると認知度はいまひとつで、むしろ米国のウィキペディアの方がニュースの話題として取り上げられているのが目立つ。そのためか内容的にも日本と比べるとやや物足りないように感じられる。
ウィキペディアはその特徴上、その国の人の視点や文化が大いに反映される。韓国の場合もそうで、一例として「コスプレ(コスチュームプレイ)」を見てみると、普遍的な概念とともに韓国独自のコスプレ文化が詳細にわたって説明されている。
説明によれば、韓国でコスプレは略して「コス」とも呼ばれていて、「メイドコスプレ」「メカニックコスプレ」「ビジュアルコスプレ」などジャンルが細分化されているという。自宅とイベント会場をコスプレ衣装のままで行き来したり、コスプレしている人の写真を自由に撮れるなど、日本よりも自由度が高いのが特徴だそうだ。大規模なコスプレ同好会には約15万人もの会員が所属し、彼らがチームを作ってコスプレし漫画のストーリーに沿って公演を行う「チームプレイ」などは韓国特有の現象であると説明されている。
このほか「日本」やそれに関する記述は、政治や歴史面での両国の葛藤を反映している部分などもある。
ところで最近、「リネージュ」などのオンラインゲームメーカーとして有名なNCsoftが、ウィキペディアの発展系ともいえる「springnote」というサービスを開始した。
これは「思い浮かんだ考えを手軽に書いて整理し、友達と一緒に作っていける、インターネット上の私のノート」というコンセプトを持つサービスだ。
ユーザーは与えられた空間「ノート」を、まるで常備しているノートのように手軽に活用できる。ノートは常に書き込みモードとなっていて書いたはしから保存されていくため、考えが思いつくままにさっとメモできるようになっている。またMicrosoft Wordや写真ファイル、テキストファイルなど外部文書やデータをそのままノートに引用してくることも可能だ。文書が多くなったら「しおり」機能で特定のページに目印を付けられるほか、ページ同士をリンクして関連付けることもできる。さらにノートを複数作ることもできるので整理も簡単だ。
こうした機能を利用して自分だけの英単語帳を作るもよし、気に入った記事のスクラップ帳にしてもよし、おいしいお店リストを作るもよし。ユーザーの個性によってさまざまな形で利用できるのだ。
またこのノートは個人の利用だけで完結するのではなく、仲間と共有することもできるのが大きな特徴となっている。自分が作ったノートのページを、指定した仲間と共有して編集していくことができるのだ。たとえばおいしいお店リストであれば、ここに複数の人が参加することで幅広い情報を収集し、より内容の濃いお店リストを作り上げられるというわけだ。
springnoteは韓国生まれの最初のウィキペディア風サービスであると、NCsoftは述べている。ただしspringnoteは、ウィキペディアのようにすべてを共同編集することよりも個人用途により重点を置いたサービスを目指しながら、ウィキペディアの核心機能であるすばやい編集やリンク、共同作業という概念は、ここでも活かされている。
同社では今後springnoteの機能拡大を図っており、文書を誰もが編集できるオープンなサービスから、限られたチーム内だけでの共同編集、個人だけでの編集機能など、さまざまなスタイルでの編集機能を充実させていく予定だ。
実際にspringnote上での共同編集の様子を見てみると、ウィキペディアのように書き手が間違った用語の使い方をしないように慎重になるというより、仲間同士で楽しみながら情報共有する和やかな雰囲気が感じられる。
韓国でオンライン辞書といえば、現在のところ充実した収録数をほこるポータルサイトの辞書が多用されている。また同好会などオンラインコミュニティ活動が活発なのも韓国インターネットの特徴であり、そうしたことを考えると同じ共同編集というコンセプトであっても、springnoteのような楽しさや気軽さをプラスした共有サービスの方が発展性があるかもしれない。
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