--ニュースサイトからの反響はどうでしたか
Google Newsの価値を認めて支持してくれるところが半分、非難するところが半分でしたね。そして、Google Newsを実際に始めて見ると、ユーザーたちがそれまでよりもたくさんニュースを読むようになったことがわかりました。
それだけニュースサイトへのトラフィックも増え、ニュースサイトの広告ビジネスにも貢献できているはずです。
また、実際にニュースを書く記者たちの多くも、同じテーマについての異なる情報や、異なる視点を調べるツールとして役立ててくれています。しかし、その一方でGoogle Newsが独自にニュースサイトをやりたがっているとか、既存のニュースサイトからのトラフィックを奪おうとしているといった誤解が広まっていました。
我々はニュースを編集することにも、既存ニュースサイトと競合するつもりも一切なく、むしろユーザーがそこへたどり着く流れを作っているのだと思っているのですが……。
--そういう意味では、Google Newsにおいてソース記事のトップとして表示されるか否かは、ニュースを提供する企業にとって重要なポイントになると思いますが、この点についてはどのようにバランスを取っているのでしょう。
同じトピックについても、表示される順番は頻繁に入れ替わっています。我々がGoogle Newsでやろうとしていることは、ニュース記事による同じテーマについての討論とも言えるかもしれません。
ニュースの発信者に対する独自の格付けも採用していますが、それと同時に情報の新鮮さも重視しています。ニュースの多くは、時間の経過にあわせて状況が変化して発展していくものです。こうしたいくつかのパラメーターから純粋に計算だけで、ニュース記事を選び出し、順番を決めて表示するのがGoogle Newsの目指すところです。
すべて計算だけでやろうとしているため、最初の頃は見出しと写真が合致していないといった問題もありましたが、我々は常に技術の改良を続けています。
--ユーザーが欲しい情報を重点的に表示するパーソナライゼーションについてはどうでしょう。Krakatoa Chronicleでは実現していたということですが。
ユーザー1人1人のニーズにあった情報を提供するパーソナライゼーションには2種類あります。
1つは、ユーザーがあらかじめ欲しいという情報を指定する「明示的なパーソナライゼーション」です。例えば「『健康』のセクションはあっても読まない」、「スポーツ欄で興味があるのはこのチームのニュースだけだ」といったことをユーザーが指定します。
もう1つは、ユーザーが必要とする情報をシステムが理解して、暗黙のうちに選び出す「暗黙的なパーソナライゼーション」です。現在のGoogle Newsは、明示的なパーソナライゼーションを行っています。いずれは暗黙的なパーソナライゼーションも導入していくかもしれません。
--明示的なパーソナライゼーションで気になるのは、「ユーザーが自分のためになる情報を事前に知っているとは限らない」という点だと思います。情報と偶然に遭遇することも重要だと考えられませんか。
まさにその通りで、それを考慮にいれるのも重要なことです。ニュースでは、トップニュースというのが、まさにその役割を果たします。また、1つ1つのセクションでもユーザーに大まかに分類させ、その範囲の中でシステムの側の裁量でニュースを選べば、ある程度偶然に発見する機会は生まれると思います。
ニュースというのは、半分は情報で半分はエンターテイメントの要素があると思います。それだけに偶然性は非常に重要でしょう。
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