中国での次世代DVDの話がにわかに活気付いてきた。既にプレーヤーとコンテンツが発売されて年月が経っているEVD(Enhanced Versatile Disc)がBlu-ray Disc陣営とHD DVD陣営に対して迎え撃つ。「迎え撃つ」とは書いたが、EVDはプレーヤーが発売されて数年は経っているのに鳴かず飛ばずの状況ではある。しかしそれでもEVDは本気で日本発の両規格と対抗せんと意気込んでいる。
10月15日、北京にてメディアには非公開でEVD産業聯盟■委会が発足、40以上の会員企業が一同に会した(■は竹かんむりに寿)。会員企業には海爾(ハイアール)などのハードウェアメーカー、中国映画のコンテンツプロバイダ、それに中国全土で600店以上のチェーン店を持つ中国最大の電器店チェーンの国美などの企業名が並ぶ。興味深いのは、EVDと中国での次世代DVDの覇権争いをしたHDV(High Definition Video)とHVD(High-Definition Versatile Disc)の代表も会員となり、EVD陣営に参画していることである。これまでEVDが中国標準となったにも関わらず、天下を取らんとHDV陣営とHVD陣営が独自で研究開発していたが、Blu-rayとHD DVDの上陸が間近に迫り、中国国内で内輪揉めをしている場合ではなくなったのだろう。とりあえず中国国内次世代DVD三国志の最後はEVDの統一で幕を閉じたようだ。この会では、年内に20台前後のDVDプレーヤー並の価格のEVDプレーヤーを市場に投入するということが決まったと、中国メディアに対し会員のメーカー企業は語った。
HD DVDは中国独自仕様のHD DVDとなって上陸する。2006年前半から中国投入に向けて論議が始まったHD DVDは、中国側の要望で独自のコーデックを採用するものとなる。その意図はリージョンコード以上のコピー対策と捉えることはできる。一方中国外の豊富なコンテンツがために、日本を含めた中国外のHD DVDプレーヤーとそのコンテンツが非正規ルートで流通し、公式上はHD DVDが中国ではたいして売れないように仕組んだとも勘ぐることもできる(事実例えば中国ではソニーや任天堂のゲーム機は公式ではほとんど売れていないが実際には市場ではかなり浸透している)。実は今回のEVD陣営の発足会が起きた背景として、さかのぼること1週間前の10月9日にDVDフォーラムが中国独自HD DVDの策定を開始したことが大きく影響していると中国メディアは推測している。
EVD陣営の主席である張宝全氏は会の席上「中国独自のHD DVDは一切研究する必要はない」とコメントした。もちろんその理由として中国発の規格であるEVDの存在があるからではあるが、それだけではない。中国メーカーがHD DVDプレーヤーを製造販売するとなれば、中国メーカーは、中国での規格が中国だけの規格であること、他国では日本メーカーなどブランドのあるメーカーに勝てないことから、中国でしか製品を販売できないことが目に見えているからというのもその理由なのだそうだ。
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