網絡同居ユーザーのハマり具合を物語る、次のような逸話がある。これはあるニュースサイトに出ていたものだが、夏休みの間、実家に帰省せずにアルバイトを続けるつもりだったある大学生が、網絡同居で「奥さん」を見つけ、そこでの生活にのめり込んでしまった。さらに、趣味や考え方が似た別のカップルとも親しくなり、「家族ぐるみ」の付き合いをするようになった。そうこうしているうちに、夏休みが明け、この大学生は現実の世界に戻ることになったが、仮想世界の人間関係に浸りすぎたため、現実側の友人関係が疎遠になってしまったという。
この記事の分析によれば、こうした「隠とん生活」に走る若者たちは、進学や就職に対するプレッシャーから逃れるために「網絡同居」の世界に入り浸り、そこでストレスを発散させているという。また、一人っ子として育った現代の若者は社交性に乏しいことから、複雑な人間関係に煩わされることのないバーチャル空間での「網絡同居」が流行っているのではないかとも言われている。さらに、網絡同居の流行と、ネットのもつ平等性や匿名性との関係を指摘する社会学者もいる。現実社会において感情を表現することが苦手な若者にとって、ありのままに心を開ける網絡同居は、心地良い空間なのかもしれない。
ネット同棲が現実社会にもたらす弊害
一方、網絡同居の流行に対しては、ユーザーが2つの世界の生活を行き来するうちに「二重人格」のような状態となり、心の健康を損うおそれがあるとする危惧の声も上がっている。
また、利用者の道徳観に対する影響への懸念もある。つまり、ネット同棲者は現実世界のパートナーと仮想世界のパートナーとの間で二股をかけることになるほか、バーチャルな世界では簡単に嘘をつけてしまうため、今後はネット恋愛や網絡同居が原因で離婚する夫婦が増えるのではないかというのだ。実際にこれを裏付けるような例も報告されており、たとえば20年間続いた円満な夫婦生活が網絡同居のせいで崩壊したというケースもあったという。
さらに、網絡同居に関連した犯罪も発生している。たとえば、河南省ではネット恋愛で知り合ったカップルが結婚し、現実の世界でも一緒に暮らし始めたが、ある時女性が熟睡している間に、男性のほうが現金や貴金属などを盗み出したという事件が起こっている。また、32歳の既婚女性が結婚の申し入れを断られたことに腹を立て、ネット同棲していた相手を殺害するという事件もあった。
そのほか、ネット同棲のような大人向けのゲームに高校生が参加しているケースもあり、これが青少年犯罪につながる可能性も懸念されている。
網絡同居関連の気になるニュース
※リンク先は中国語のニュースサイトです。
バーチャルと現実の恋愛関係
2005年11月29日(博客網)
網絡同居はなぜ流行る
2005年11月18日(国際在線)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」