文:Adrien Lamothe
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006/05/02 19:54
Cellは開発段階から大きな注目を集めていた。Cellの応用範囲は広い。軍事システムはそのひとつだ。Cellの強力な映像処理機能、演算機能、デジタル信号処理機能は、多くの軍事システム企業を引き付けている。Cellは携帯電話にも新しい可能性をもたらす可能性がある。うまくいけば、これは巨大な市場になるだろう。東芝はCellを大画面の高画質テレビやノートPCに採用しようとしている。自動車会社もCellに注目している。ロボット工学にも有効かもしれない。医療機器メーカーもCellの採用を進めている。少なくとも1社は、Cellを搭載したスーパーコンピュータの開発に取り組んでいる。
ゲームは汎用コンピュータと並んで、Cellの大きな市場となるだろう。これはAppleがシェア獲得を目指している市場でもある。Macworld ExpoではAppleの幹部が新型Macのゲーム機能に言及するのを何度も耳にしたが、この市場ではCellベースのシステムがMacをリードする可能性が高い。
IBMのもうひとつの大きなパートナー、Lenovoも見過ごせない存在だ。IBMは昨年、自社のPC部門を丸ごと、この中国企業に売却した。いずれ、LenovoからCellを搭載したコンピュータが登場するかもしれない。Lenovoとの提携はIBMの商才を見せつけるものだった。IBMの信条は、「倒せないなら組みせよ」だ。IBMは保護主義傾向の強い中国市場で、Lenovoやその他の中国企業との競争にさらなる投資を行う代わりに、PC事業そのものをLenovoに売却し、同社の株を18%取得することを選んだ。現在、IBMは中国政府の庇護のもとで、世界最低水準の製造コストを享受する一方、共同マーケティングを通して、西側諸国にPCを供給している。IBMは必死の努力の末に利益の100%を得るより、はるかに巨大な企業の利益の18%を得る方が得策だと判断したのである。
今は黙認されているが、今後注目される可能性のある要素のひとつにLinuxがある。IBMは数年前にLinuxを採用し、サーバ事業を活性化した。IBMがLinuxをデスクトップに進出させようとしていることは間違いないだろう。数年前にオレゴン州ビーバートンで設立されたOpen Source Development Labs(OSDL)は、オープンソースのソフトウェアと標準を促進する団体だが、IBMはこの団体のプライマリスポンサーを務めている。OSDLは2003年にLinuxの開発者として知られるLinus Torvaldsを研究開発部門のトップに迎え、話題を呼んだ。
Torvaldsの最近の研究テーマは、「デスクトップ環境」のための強力なソフトウェアインフラの構築である。デスクトップ環境はこれまで、技術に弱い、一般的なコンピュータユーザーのためのグラフィカルなユーザーインターフェースとツールだと考えられてきた。現在、TorvaldsはOSDLのDesktop Linuxイニシアチブの責任者を務めており、このイニシアチブからは今夏、新しいデスクトップ環境が登場することになっている。
Linuxのデスクトップ環境は非常に強力だが、今のところ、Mac OS Xほど洗練されてはいない。Linuxデスクトップの代表的なものとしてはKDEとGNOMEがある。これらの環境向けのアプリケーションの多くは、大なり小なり開発段階にあり、競合する商用ソフトウェアと比べると見劣りがする。しかし、最近はいくつかの進捗もあった。人気の高いプロ用レンダリング/アニメーションプログラム「Maya」のLinux版が登場したのはしばらく前のことだ。「GIMP」はPhotoshopと同等の機能を提供する無料プログラムであり、Photoshopの最新機能こそ備えていないものの、機能は非常に充実している。人気の数学プログラム「Matlab」に至っては、多くの科学研究者がWindows版より、Linux版の方が高速に動作すると考えている。Adobeは数年前にLinux版の開発を試みているし、Sun Microsystemsは「Microsoft Office」とよく似たオフィススイート「Star Office」を提供し、好評を得ている。全体としてみれば、KDEアプリケーションはゆっくりと、しかし確実に進化していると言えるだろう。KDEは Macのキーボードを認識するため、正しく設定すれば、Macとほぼ同じように動作する。Mac OS X風のメニュー、透過、マウスオーバー効果も提供されている。
OSDLのDesktop Linuxイニシアチブから、一般ユーザーにも使えるようなLinuxデスクトップが登場したら、IBMはLenovoと連携して、これをまずは企業ユーザーに提供するだろう。このデスクトップが一般ユーザーのPCでも使用できる水準に達したら、ソニーやLenovoのような企業は製造コストを削減するために、このデスクトップを採用することができる。コンピュータメーカーは現在、Windowsのライセンス費用として、PC1台当たり約100ドルをMicrosoftに支払っているからだ。

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