IBMのStephen Ward(パーソナルシステムグループ、ジェネラルマネージャ)は、先頃IBMのPC事業買収を正式発表した中国Lenovoの次期CEOに任命された。これにより、同氏はPC業界のCEOという超エリートグループの仲間入りを果たし、HPのCarly FiorinaやDellのKevin Rollinsと肩を並べることになる。
しかし、PCメーカーのCEOという仕事は、以前よりもははるかに難しくなっている。大手数社が圧倒的なシェアを握る2004年のPC業界では、成長率はますます低下し、競争は激化の一途をたどっている。Wardは、この業界の新規大手の最高責任者として、あらゆる難局を切り抜けていかなければならない。
WardはCEOに就任後、3つの大きな仕事に立ち向かうことになる。まず、1万9000人を超える社員と膨大な数に上るIBMの顧客を納得させる必要がある。同時に、IBMとそれほど知られていないLenovoの両社が持つブランドとデザイン、ならびに両社の製造およびマーケティングその他の機能を活かすようなやり方で、世界各国でビジネスを展開する新生Lenovoの運営を行っていくことも求められる。
Wardにとって良いニュースは、販売とサポートに関してIBMの全面的支援を受けられることだ。また、Lenovoはこれまでアジア地域だけでビジネスを展開してきたため、米国や欧州その他の主要市場では、LenovoとIBM間で製品および人員の整理を行う必要がない。つまり、現在の社員数と製造能力をそのまま活かして、DellとHPを追撃することができる。
とはいうものの、顧客を納得させるのは簡単ではないだろう。アナリストらは、かなりの数の顧客がIBMから離れていくと予測している。たとえば、Forrester Researchは、IBMとLenovoのジョイントベンチャーの設立によって、米国で(IBMのシェアである)1400万台分のPC市場争奪戦が始まることになると予測している。Wardは、それについては覚悟はできているとし、IBMの営業部隊の力を借りて、新生Lenovoは現ユーザのIBM離れを抑えるように努めるつもりだという。
新生Lenovoの当面の目標と、米国や中国、その他の国々のPC市場で同社が果たす役割についてWardに話を聞いた。
-- Lenovoという会社と、IBM PCの新しい担い手としての目標を聞かせてください。
まず契約面に関しては、IBMがPC部門をLenovoに売却したということになります。Lenovoは、PCや携帯電話などのビジネスを展開している企業です。現在のLenovoと今回の買収で設立されるジョイントベンチャーはすべて、新生Lenovoに統合されることになります。会社名はLenovoのままです。本社は、ローリー(米ノースカロライナ州:IBMパーソナルシステムグループの本拠地)でも北京でもなく、ニューヨーク州アーモンク市に置きます。上級管理職は、私と会長となるYuanqing Yangを含めて、ニューヨークで指揮をとります。もちろん、現在の顧客、ローリーと北京にある各主要拠点の運営、IBMとの関係についてもそのまま維持していきます。
新会社も設立します。拠点はおそらくオランダになると思いますが、ニューヨークになる可能性もあります。現在のIBMと同じ国際的な株式公開企業になると考えてください。
--つまり、かつてのIBM、現在のDellやHPのような世界的なPCブランドになることが目標というわけですね。
そのとおりです。しかも非常にグローバルな企業になるでしょう。それに関して興味深いのは、我々の中国市場でのシェアをすべて合わせると、米国市場でのどの企業のシェアよりも大きくなるという点です。誰もが、「米国市場はすでに大手に支配されている。彼らに勝つのはまず無理だ」と言います。しかし、それは成長が鈍化し、飽和状態になった市場での話です。
中国市場はまだまだ大きな需要を抱えていますし、急激に成長しています。我々には中国という巨大市場があります。その点に注目して頂きたいと思います。
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