現在、デスクトップOSとオフィススイートの市場は、Microsoftが支配している。このことに異論を唱える人はまずいないだろう。しかし、最初からそうだったわけではない。
1980年代後半までは、「OS/2」のほうが「Windows」よりも技術的に優れていると評価されていたし、「Mac」もWindowsより優れたユーザーインターフェイスを備えていた。また、「WordPerfect」や「Lotus 1-2-3」といったアプリケーションも、Microsoftの類似製品よりも豊富な機能を提供していた。
しかし、こうした企業もMicrosoftを阻止するには至らなかった。結局、Microsoftは、ユーザーにとって充分な技術力、低価格、魅力的なバンドリングなどで、競合相手をことごとく退けてしまった。こうしてデスクトップ市場で確固とした足場を築いてからは、同社はソフトウェアの改良を重ねてきた。ところが、皮肉なことに、これと同じ戦略を用いた他社によって、Microsoftは今苦境に立たされようとしている。
先ごろ開催された「Brainshare」コンファレンスで、Novellは「SuSE Linux Enterprise Desktop 10」のベータバージョンのデモを行った。Linuxのデスクトップといえば、つい最近までは、趣味かギークの領域のものだったが、Suse Linux Enterprise Desktopのようなディストリビューションが改良を重ねたことでユーザー層が広がり、今では、数あるビジネスデスクトップの選択肢の1つに名を連ねるまでになっている。
こうしたLinuxディストリビュータたちの戦略は、実は、これまでMicrosoftがとってきた戦略をそっくり真似したものだ。
第一に、NovellのLinuxデスクトップ製品にはOpen Office 2.1がバンドルされている。これで、ワープロ、表計算、プレゼンテーションの基本アプリケーションは揃う。もちろん、Microsoftが提供しているさまざまなお飾りの機能までは備えていないが、機能的にはほとんど見劣りしない。言い換えると、基本的な機能しか使わない大半の社員にとっては充分ということだ。
第二に、NovellのLinuxデスクトップは、インストールとドライバサポートの点でも大幅に改善されている。OSのインストールは直感的に操作できるウィザードに従うだけで行えるし、プリンタやUSBフラッシュメモリなどのデバイスも、Windowsのプラグアンドプレイに匹敵するくらい簡単に認識される。
さらに、LinuxデスクトップとOpen Officeは、Windowsとの相互運用性も大いに高まっている。Microsoft Wordの文書は、Open Officeでそのまま開ける。フォーマット指定が失われることもないし、編集した文書をWordのネイティブ形式で保存することも可能だ。また、LinuxでWindowsをエミュレートするように設定すれば、従来からWindowsで使用されてきた重たいクライアントアプリケーションをサポートすることもできる。
極めつけは、価格である。フル機能のWindowsデスクトップOSが約500ドルはするのに対して、Linux/OpenOfficeデスクトップは年額50ドルで済む。ボリュームディスカウントがあるのはどちらも同じだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス