ボストン発--Open Source Development Labs(OSDL)が、「GNOME」と「KDE」に互換性を持たせ、ソフトウェア企業の負担を軽くするための取り組みの成果を公開している。GNOMEとKDEは、Linuxでは最も広く利用されている競合するグラフィカルインターフェースだ。
米国時間4月4日、「Project Portland」と呼ばれるこの取り組みから生まれた初めてのソフトウェアツールが、今週から当地で開催されている「LinuxWorld Conference and Expo」でその姿を現した。企業が同ツールを利用すると、単独でどちらのインターフェースでも動作するソフトウェアパッケージを作成できるようになるという。
OSDLと、その協力団体で、インターフェースの統一問題に以前から取り組んでいたFreedesktop.orgは、同ソフトウェアのベータ版を5月に、バージョン1.0を6月にリリースする予定だ。取り組みの支持者らは、これが最終的には「Linux Standard Base」の一部となることを望んでいる。Linux Standard Baseは、より大規模な独立したプロジェクトで、ソフトウェア企業におけるLinux OSの利用を容易にすることを目的としたものだ。
Project Portlandの運営者によれば、2005年12月にOSDLの開発者がオレゴン州ポートランドに集まって開いた会議が同プロジェクトの発端だという。KDEおよびGNOMEもこのプロジェクトを支援している。
WindowsやMac OS Xとは異なり、Linuxには普及しているグラフィカルインターフェースが2種類ある。そのため、ユーザーによって普段使っているコントロールパネルなどのアイテムが違っていたり、カット&ペーストの操作法が複雑になったりという状況が生まれていた。またプログラマーも、ダイアログボックスやプルダウンメニューといった要素でどのような基礎を利用すればよいのか、気をつける必要があった。Linuxマシンに両インターフェースのソフトウェアパッケージをインストールし、一方のインターフェース用に作成されたプログラムでもスムーズに動作するようにするのは普通のことだが、動作が保証されているというわけではない。
Project Portlandは、両インターフェースの相違点を覆うために2つの方法を考案している。1つは一連のコマンドラインツールを用いる方法で、もう1つは「DAPI」と呼ばれるアプリケーションプログラミングインターフェースを使う方法だ。OSDLは、著名なコンピュータ業界関係者らによって2000年に設立された非営利コンソーシアムである。LinuxのパイオニアLinus Torvalds氏を抱えるOSDLが、デスクトップLinux問題に取り組むようになったのは2003年のことだ。
Linux Standard Baseの会長であるIan Murdock氏は、「KDEとGNOMEの間に長らく統一性が欠けていたせいで、これまでは独立系ソフトウェアベンダーが両環境と高い連係性を持つ単独のアプリケーションを開発するのは難しかったが、Portlandがこうした問題を解決してくれるだろう」と、インタビューに答えて語った。もっとも、同プロジェクトは今後必要になる多くの取り組みの1つに過ぎないと、同氏は付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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