KDDIとKDDI総合研究所は7月25日、個人の特性や場面に応じた精神状態の向上術を提案するAIの構築を目指す研究を開始したと発表した。7月19日から情報通信研究機構(NICT)と共同研究契約を締結し、脳科学とICT技術を組み合わせたブレインテックを活用する。
KDDIとKDDI総合研究所は、2019年からビッグデータ分析の知見を生かし、人間の脳と神経の関係性に着目した脳神経科学の活用に取り組んでいる。
これまでの研究から、動画視聴や音楽鑑賞といった視聴覚刺激によって引き起こされる感情など、精神状態の変化を脳波から検出できる可能性があることを確認したという。
しかし、視聴覚刺激の内容と視聴覚刺激前後の精神状態の関係性、性や年代、趣味嗜好といった個人の特性や環境による精神状態の違いは明らかになっていないとしている。
2022年度は、脳波における視聴覚刺激と、精神状態や個人の特性との関係性解明を目的とした研究に取り組む。
トップアスリートは、信頼関係を築いたプロのメンタルコーチの指導のもと、最適な精神状態に導くトレーニングを実施し、試合で自身の能力を最大限に発揮している。しかし、一般の人が同様の環境を構築することは困難なため、試合、試験、プレゼンなどの大切な場面で、能力を十分に発揮できないことがある。
そこで、同研究結果を活用し、2026年頃に一人一人に最適な視聴覚刺激を提示するAIを構築する。脳波を基にその人にあった視聴覚刺激をコントロールし、誰もが仕事、人間関係、運動、勉学などで受けるストレスの軽減を図り、達成感、自己肯定感を高めることで長期的な幸福度 (Well-being) の向上ができる世界を目指す。
加えて、一人一人に最適化された思いの実現方法を提案するため、より多くの分野での脳神経科学の活用の検討に着手するとしている。
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