オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)と自然電力は6月8日、京都府舞鶴市でEVの充放電を制御する実証実験を7月1日から開始すると発表した。太陽光発電設備とV2H(Vehicle to Home)機器の充放電遠隔制御技術を検証すべく、7月から2023年3月まで実施する。
OSSと舞鶴市は2019年4月、地方都市が外部環境に依存せず自ら稼ぎ、安定した地域経済を実現する持続可能な社会を目指す、2030年を見据えた包括連携協定を締結。「社会と環境と経済が調和する持続可能なまちづくり(再生可能エネルギー自給率向上への挑戦)」を掲げ、太陽光発電や蓄電システム、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入など、省エネ、創エネ、蓄エネなどを組み合わせたトータルなエネルギーソリューションを活用した、再生可能エネルギー100%のまちづくり実現を目指して取り組みを推進している。
今回の実証実験では、舞鶴市が公用EVを提供し、OSSが舞鶴東体育館に新たにカーポート型太陽光発電、蓄電池設備と、V2H充放電設備を導入。加えて、EMSによる定置型の蓄電池自動制御や、スマートフォンアプリとクラウドを用いた安全運転管理サービス「DriveKarte S」も活用する。
また、自然電力が開発する、再エネ発電設備や蓄電池、EV、EQなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲートエネルギーマネジメントシステム「Shizen Connect」を、EVの制御に活用する。
実際の検証内容として、(1)カーポート型太陽光発電設備から舞鶴東体育館への給電による再生可能エネルギー自給率の向上、(2)V2H充放電設備の活用による、電力使用量の多い時間帯はEVに蓄えた電力へ切り替えるピークカットの実施と電力使用コストの削減、再生可能エネルギー自給率の向上、(3)定置型蓄電池の自動制御とV2H充放電設備の遠隔自動制御の共存によるエネルギーマネジメントの最適化、の3項目を挙げている。
将来的には、地域単位で再生可能エネルギー発電設備や蓄電池、EVを制御し、複数の分散された発電所をデジタル技術で制御、統合することで、ひとつの発電所のように機能させるVPP(Virtual Power Plant)の地域レベルでの実現を目指す。
また、OSSと自然電力は、今回の舞鶴市をモデルケースとした成功事例を同様のエネルギーマネジメントで課題を抱える日本の地方自治体へと展開する。脱炭素社会の実現に貢献していくとしている。
なお、EVからの充放電を行うためのEV用パワーコンディショナであるV2H充放電設備により、EVを蓄電池のように利用することで、太陽光発電設備からの余剰電力を蓄え、電力使用コストの削減および、災害時の電力供給源としてのEV活用が期待できるという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス