東日本旅客鉄道(JR東日本)は5月10日、山手線全線(34.5km)でE235系(2編成)の営業列車を使用し、自動運転を目指した実証運転を実施すると発表した。
同社は、グループ経営ビジョン「変革2027」に掲げる「ドライバレス運転」の実現のため、ATO(自動列車運転装置)の開発を進めている。自動運転導入に向けては、2018年度から山手線で終電後の時間帯に試験を行ったほか、2月には営業時間帯に試験を実施。前後に列車が走行している環境で、自動運転に必要な運転機能、乗り心地、省エネ性能などの確認を行っていた。
今回の実証運転は、10月頃から2カ月程度の実施を予定している。普段乗客が利用する2編成の営業列車を利用し、加速、惰行、減速などの自動運転に必要な運転機能、乗り心地、省エネ性能などの確認や、知見の蓄積を行うという。
なお、同社が検討している省エネ運転とは、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転エネルギーを削減した運転のこと。具体的には、加速時間を短くし、惰行の時間を長く、そして減速時間を短くする運転になる。
山手線では、2020年度から乗務員の操縦による省エネ運転の研究に取り組んでおり、自動運転を目指した開発においても、その知見を活用。2月に実施した自動運転の試験では、約12%の運転エネルギー削減効果があることが判明したという。今回の実証運転では、実際の営業列車でのデータを数多く蓄積し、より詳細な分析を行うことで、定時性、乗り心地と省エネを両立するATOの開発に役立てていくとしている。
また、山手線は2023年春頃からATOに対応した車両改造などの準備を行い、2028年頃までにATOの導入を目指す。さらには、将来のドライバーレス運転の実現を目指した開発を進めていくとしている。
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