米航空宇宙局(NASA)は、将来同局の衛星通信を担う民間オペレーターに総額2億7850万ドル(約360億円)を投じる。この計画の一環で、Amazonの衛星インターネット事業「Project Kuiper」やSpaceXの「Starlink」が契約を獲得している。
NASAの「Communication Services Project」(CSP)の一環として、衛星通信事業者6社に資金が提供される。CSPは、追跡データ中継衛星(TDRS)に代わる商用衛星通信(SATCOM)ネットワーク採用の可能性を評価してきた。
各社は広範なミッションでコストの低減、柔軟性の拡大、パフォーマンスの向上を実現する技術的なアプローチを提案している。Amazonの「Kuiper Government Solutions」には6700万ドル(約86億円)、SpaceXには6950万ドル(約90億円)が提供されている。いずれも、商用の光地球低軌道中継ネットワークを提案している。
SpaceXはこれまでに、衛星ブロードバンドサービスを提供するStarlink衛星約2000基を低地球軌道に打ち上げているが、Amazonはまだ、提案されている衛星コンステレーションを打ち上げていない。
Amazonは4月、Project KuiperがArianespace、Jeff Bezos氏のBlue Origin、United Launch Alliance(ULA)と提携し、5年間で83回の打ち上げを実施すると発表した。3236基の衛星を軌道に送り込む計画の大部分を達成できるとしている。
今回契約した6社は、2025年までに技術開発やデモを完了し、自社の技術で高速大容量の新たな双方向通信などを提供できる能力を証明しなければならない。NASAは2030年までに地球近傍SATCOMを運用する企業と複数の長期契約を実現しようとしており、独自システムを段階的に廃止する。
CSPのプロジェクトマネージャーEli Naffah氏はReutersに対し、目指すのは業界が「NASAのみに限らず」ほかの宇宙ベースの顧客向けに機能を開発するようになることで、われわれのコストを低減させることに期待している」と述べた。
この契約は、NASAの将来的なミッションの要件を満たす可能性のある革新的なソリューションを開発する機会を生みながら、各社の事業モデル、将来の顧客、成長する国内の商用SATCOM市場を支えるとNASAは説明している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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