自動車メーカーのFordが半導体受託製造大手のGlobalFoundriesと提携し、半導体不足の解消を目指す。自動車業界では半導体不足による生産ラインの停止も発生している。
FordはGlobalFoundriesと提携することで合意したと発表した。同社と米国の自動車業界全体への半導体の供給を増加させるとしている。
Fordは最近、半導体部品の不足に伴う減産が新車販売に影響していると報告していた。
コロナ禍で自動車の需要予測に変化が生じた。半導体受託生産会社の自動車業界へのチップ供給は不足する状態が続いている。半導体の契約は複数年に及ぶが、各国がコロナ禍で経済活動の再開を進める中、新車の需要は予想を上回るペースで増加しているようだ。
また、チップメーカーは、新しい製造プロセスを採用するコンピューターやスマートフォン用のより高価値のチップに注力している。
Fordの最高経営責任者(CEO)Jim Farley氏は、「顧客が将来最も重視する技術や機能を提供する上で、Ford、そして米国が独立性を高めるには、サプライヤーと協業する新たな手段を生み出すことが重要だ」とコメントしている。
「今回の合意は始まりにすぎない。そして、主要な技術や機能を垂直的に統合するという当社の計画の主要な要素であり、今後の長期的なFordの差別化につながるものだ」(Farley氏)
提携の詳細は明らかにされていないが、Fordの現在のラインアップに向けたさらなる半導体の供給や共同の研究開発を行う可能性があるという。これには、電気自動車用のADAS、バッテリー管理システム、車内ネットワークのための半導体ソリューションなどが含まれる可能性があるとFordは述べている。
また、この提携はFordのみに限らず、「米国内の半導体製造と技術開発を前進させ、Fordと米国自動車業界へのチップ供給を増やす」狙いがある。
欧州では、アジア、特に台湾が掌握する半導体サプライチェーンの主導権を取り戻す機会を狙う動きもある。欧州委員会(EC)は、2030年までに欧州連合(EU)のデジタル主権を確立することなどを目指す「Digital Compass」計画を発表している。世界の半導体供給における欧州のシェアを現在の9%から20%に引き上げたい考えだ。1990年代には、欧州のシェアが40%を超えていたとされている。
半導体不足による2021年の自動車業界の損失額は、2100億ドル(約24兆円)になるとの予測もある。
GlobalFoundriesは10月、NASDAQに上場し、評価額は250億ドル(約2兆8000億円)となった。顧客には、米国のQualcomm、台湾のMediaTek、オランダのNXP Semiconductorsなどが名を連ねる。
GlobalFoundriesのCEOであるTom Caulfield氏は10月、CNBCに対し、自動車業界に適した「レガシーノード」に注力すると述べていた。「不足の大部分を占めている分野であり、それは投資が不足しているためだ」などと指摘した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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