Googleは、同社のモバイル決済アプリを利用した銀行口座の機能に関する計画を打ち切る考えを明らかにした。
Googleは2020年、スマートフォンで利用できる決済サービス「Google Pay」の大幅な刷新を発表した。サービスの主軸をオンラインバンキングへと拡大し、CitiやStanford Federal Credit Unionなど数社の銀行や金融機関と提携して、「モバイルファースト」の銀行口座「Plex」を開設できるようにする計画だった。Plexは、毎月の手数料や超過引き出し手数料のかからないサービスとされていた。
Googleは、同社のソフトウェア技術や人工知能(AI)を駆使して技術をモダナイズし、モバイルバンキングのユーザーエクスペリエンスを向上させると約束していた。しかし、プロジェクトを断念することになった。
Googleの広報担当者は声明で、「オンラインと実店舗での取引で、シンプルでシームレス、安全なデジタル決済に対する消費者の需要があることが、パートナーとの取り組みを通して非常に明確になった」と述べた。「私たちはアプローチを新たにし、当社がこうしたサービスの提供者となるのではなく、銀行やその他の金融サービス事業者がデジタル化を実現できるようにすることに主軸を置く」(Google)
数カ月前には、長年Googleに在籍し、この取り組みを統括していた主要幹部のCaesar Sengupta氏が同社を離れた。PayPalの元最高執行責任者(COO)でGoogleのコマース担当プレジデントのBill Ready氏が後任となり、このプロジェクトの責任者に就任した。The Wall Street Journalは米国時間10月1日に、Googleがこの取り組みを断念したことを報じた。
Appleやサムスンをはじめとする世界最大規模のハイテク企業が、金融サービス業界への参入を図っている。Appleは2019年、Goldman Sachsと提携し、自社ブランドのクレジットカード「Apple Card」の提供開始を発表した。
Googleによる銀行口座サービスの撤退は、シリコンバレー企業がこの市場に参入することの難しさを物語っているようだ。Facebookが主導する仮想通貨(暗号資産)プロジェクトなど、他の大手ハイテク企業の取り組みも難航している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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