シャープは8月31日、ワイヤレスイヤホンスタイルの耳あな型補聴器「メディカルリスニングプラグ」<MH-L1-B>を9月中旬以降に発売すると発表した。価格は9万9800円(非課税)。シャープのオンラインストアや量販店などで販売する。
シャープでは、「難聴を自覚していなかった人にも使ってもらいたい」とし、軽度・中等度難聴者でかつ40代~60代のビジネスパーソンに向けた補聴器を開発した。医療機器製造販売業者のニューロシューティカルズと協業して商品化したもので、管理医療機器の認証を取得している。
デザインはワイヤレスイヤホンスタイルで、補聴器としての使用に加え、ワイヤレスイヤホンのように高音質で音楽鑑賞ができるほか、本体にマイクを内蔵しておりスマートフォンでハンズフリー通話も可能だ。
最大約55時間の電池持ちを実現し、充電ケースはUSB Type-Cケーブルで充電できるほか、スライド式USB Type-Aコネクタを内蔵しており、ケーブルレスでPCからダイレクトに充電できる。眼鏡や時計のように日常的に着用したくなる新しいスタイルの補聴器を目指したという。
スマートフォンと連携し、自宅にいながら遠隔でフィッティングからアフターサービスまでをプロがワンストップでサポートする「COCORO LISTENING」サービスを使い聴力チェックや聞こえ具合を調整する。商品購入後から60日間は無料で、5年間の延長保証など追加サービス(有料)も提供する。
シャープによれば、日本の難聴自覚者における補聴器の所有率は、約14%(2018年日本補聴器工業会の調査報告)にとどまっている。中でも、軽度・中等度難聴者の所有率は12%と低く、持っていない人は1134万人いるとみる。
補聴器を持たない理由には、「まだ若い、困らない」「価格が高い」「格好が悪い」「聞こえの調整や取り扱いが面倒」といった声がある。従来の製品は両耳で約30万円程度と高額で、調整に何度も販売店に通う必用があるといった手間もあった。
シャープは、サポートをリモートで一元化すること、また必要に応じてサポート期間の延長や補償サービスをオプションとして用意することで、従来よりも価格を抑えたという。
今回の補聴器について、「小型の通信機器であり、スマートフォンでリモートの環境から耳にあった調整ができる点など、まさに通信事業本部でやっている通信技術、小型省電力化技術、AIoT技術を結集したもの」(通信事業本部 デジタルヘルスソリューション事業推進部長の石谷高志氏)と自信を見せる。
シャープは、2020年9月に、調理・空調家電やマスクといった、健康関連機器・サービスに加え、「スマート医療ソリューション」「医療/介護従事者サポートソリューション」「オンライン診療ソリューション」の3つの観点で取り組むことを発表している。
医療ソリューションを創り上げるには、医療現場のマーケティングをはじめ薬機法など業界特有のハードルが多く、シャープ単独では厳しい状況にある。そこで、2020年6月に、医療機器の開発や医療現場のニーズ・課題に精通するニューロシューティカルズと資本業務提携した。今回のメディカルリスニングプラグは、そうした中での医療事業の第1弾となる。
シャープは、厚生労働省が推進する「生涯現役社会」の実現に向け、聴く力が健康な状態である期間、「健聴寿命」を延伸することで貢献していくとしている。
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