機械的なプログラムによる人間言語の処理は、しばらく前から企業のコンピューティングに取り入れられている。なかには、信頼できるうえに、極めて広く応用できるという意見もある。
カリフォルニア州マウンテンビューを拠点とするソフトウェア系スタートアップ企業のMoveworksは、Googleの「BERT」のように自然言語を理解するシステムを使ってITヘルプデスクのチケットを処理している。Moveworksは3月末、同社の自動エージェントが企業のITヘルプデスク以外のニーズ、例えば財務や人事、設備管理などにも対応できるようになったと発表した。
「当社が、創業以来ずっと問われてきたことがあるとすれば、それはITの範囲外のことができるのか、という問いだ」。Moveworksの共同創業者であり、最高経営責任者(CEO)を務めるBhavin Shah氏は、米ZDNetとのZoomインタビューでそう答えた。
「われわれがITの分野で提供できるようになったサービスのレベルは、多くの分野でますます理にかなうようになってきた。例えば、社内方針の変更に関する人事上の疑問、あるいは秘密保持契約書(NDA)の最新版がどこにあるのかといった法務上の疑問を従業員が持ったような場合だ」(同氏)
「時間がかかってはいけない。簡単な質問なのだから、簡単な回答が望ましい。だが、それを適切に処理するには、われわれが今やっているように、手間がかかるものだ」(同氏)
米ZDNetは以前にも、Moveworksの仕組みを取り上げたことがある。「文埋め込み」の技術を使って、ヘルプデスクシステム宛ての質問のサンプルを取り込む仕組みだ。同社のソフトウェアは、そうした質問に対する自然言語での応答を自動化したうえで、解決するまでユーザーを誘導するプロセスも自動化できる。
Moveworksは、ITヘルプデスクのチケット処理システムなど、企業内で複数の段階を踏む機能について、「言語は曲者だ」という原則に基づいて事業を進めてきた。
MoveworksのエージェントソフトウェアはBERTなどの言語モデルを利用し、Slackや「Microsoft Teams」といったコラボレーションツール上で、質問に対する回答を即座に提示し、次の手順も提案してくれる。
このたび発表されたサービスは、人事、財務、設備、および社内広報のモジュールで構成されている。それらは、ITチケット処理のために開発されて基盤となっているコアプログラムに追加される。コアプログラムでは、同社が自然言語処理(NLP)のためのインテリジェンスエンジンと呼ぶエンジンが実行される。Nutanix、Palo Alto Networks、AppDynamicsなどの企業が、この新しいモジュールを早期に導入した。
Shah氏の説明によると、企業で何らかのサポート要素を持つ領域に的を絞っているという。
「現在われわれが扱っているのは人事、財務、法務、設備で、どれも性質上、サポート機能を持つ部門だ」、とShah氏は語る。マーケティング部門でも対話は発生するが、その量はこうした他の部門で交わされるほど多くないそうだ。
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